第198号 令和3年.8.1

パソコン同好会について
IT 化時代、パソコンという便利な道具を使ってシニアライフを楽しもう、という趣旨で平成15年8月に発足しました。
以下の行事を行っていますので、どうぞご参加ください。
行事はオープンですから、同好会員に限らずOB会員・その家族の参加もOKです。
また他の団体(元気で100歳クラブなど)とも各種行事を共催で行っています。
パソコン同好会入会ご希望の方は幹事或いは事務局までご連絡ください。
例 会・・毎月1回、その時々の話題のテーマを選んで、講義形式や対話形式で行います。
またテーマによっては、パソコンを操作しながらの勉強も行います。
ホームページ発行・・・・・毎月1回、各行事の詳しい内容、各種情報満載です。
(幹 事) 中西成美 長谷川一郎 淡島律 武田正男 森田矩夫 浜田英生 平山英正
(OB会事務局) 堀永修造 笹田敬雄
(ホームページ編集) 小川秀治 大庭哲哉 井上金光
活動の内容は、左の目次欄から該当項目をクリックしてご覧下さい。
今月のお知らせ
8月パソコン同好会例会
PC同好会の皆様 幹事の長谷川です。
8月例会のお知らせです。先月例会で講演いただいた佐藤真樹さんによる地球温暖化問題について、
もう少しメンバーで議論を進めてみたいと思います。我々にとっても今後の行く末を問う極めて
重大な案件だと思いますので、同好会で録画された資料または紹介いただいた杉山大志氏などの
著作なり YouTubeなり などを基に質疑応答を試みたいと思います。
後半については、すでにご紹介してました、インターネットブラウザー MSの新Edgeに
ついて、その概要を武田正男さんから紹介していただきます。とても便利な仕組みに変身しているようです。
記
日 時 令和3年8月27(金) 13時半〜16時半頃 ZOOM会合
テーマ1 地球温暖化問題について自由討議 佐藤真樹さんを囲んで
テーマ2 新Edgeの概要について 講 師 武田 正男さん
※ 例会参加可否を8月22日(日)頃までにお知らせ下さい。
以 上
(担当幹事 長谷川一郎)
7月例会から
パソコン同好会のZoomによる7月例会は新会員川勝良昭さん、特別参加の東垣内英哉さんを含め、参加者29名で、
司会の長谷川幹事の当日のテーマ紹介から始まりました。
6月例会では青木至さんから「カーボンニュートラルに対する鉄と車の取り組みについて」の話がありましたが、
7月例会は、関連が深い、「地球温暖化問題ーその後」と題するテーマで佐藤眞樹さんの講演です。更に
武田さんからの「ブラウザー、新エッジの紹介」も行いたいとのことでした。
実は佐藤さんには3年前に同じテーマで講演してもらったので、この3年間での地球温暖化問題の変化
を踏まえてのお話しです。 佐藤さんの3年前の話は「地球温暖化問題に興味があって色々勉強してきたが、”地球温暖化
の真犯人は人間の排出するCO2 ”とする IPCC の考えに違和感を覚えている」という内容でした。
最初に自己紹介がありましたが、S41年入社し輸出の仕事が大半で海外事務所8年、等歴任し、日鉄退社後は
鈴木金属工業、神奈川大学、通訳案内士の仕事や、海外の友達の本の翻訳など驚くほど多彩な仕事をされておられます。
さてZOOMの画面共有を使い、パワーポイント資料で本題の「地球温暖化問題への取り組み」の説明を始め、最初に3枚の図
を示しました。1枚目は IPCC は世界の気温が大幅に上昇すると予測したが実際は横ばいないし低迷している図、2枚目に大気中のCO2
濃度が増加した結果、地球上の緑化がむしろ進んでいることを示す図、3枚目にマーシャル群島の珊瑚礁の島は沈むどころ
か面積が増加していることを示す図で、いずれもIPCCの主張を突き崩す内容で、佐藤さんの考え方を前面に出した形です。
- 日本鉄鋼業の地球温暖化問題への取り組み では 2005年の世界のCO2排出量276億トンは2018年では331億トンに
なったが増量の大半は中国起因で、この結果現在の排出量の28.4%は中国、米国が14.7%、インドが6.9%でこの三国だけで世界の
半分を占める事。日本は12億T強でその39%はエネルギー転換部門 、28%が産業部門で、その半分は鉄鋼によるもので約2億トンで
鉄鋼業の位置づけは極めて大きいこと。日本の鉄鋼業はすでに世界トップのエネルギー原単位を実現しているし、日本全体の
GDP で見ても世界トップレベルの低炭素経済を実現している。この事は日本の今後の削減は極めて厳しくなると指摘しました。
- 各国の地球温暖化問題への取り組み では、1979年の京都議定書は米国を除く先進国のみの参加で基本的に大きな削減は
難しかった。2016年のパリ協定は全世界の地域が参加するという意味で画期的だが削減義務でなく自主規制の目標であり、
21世紀末の温度上昇2度未満(対産業革命前)の目標達成には更に8200兆円(日本のGDP の16倍)の膨大な費用が必要なこと。
日本は2013年度比マイナス26%を2030年に達成するという国際公約を掲げましたが、その目標達成の為の限界コストは米国の5〜6倍、
EUの2倍に達する大きな負担と犠牲を日本の産業や国民に与えるものでした。自主規制を掲げ各部門で努力するが、日本鉄鋼業も
900万トンの削減目標を掲げていました。
- 各国のカーボンニュートラル戦略 では 昨年10月に菅首相が2050年カーボンニュートラルを目指すことを宣言、
即ち、これは2030年には2013年度比46%削減
(従来は26%削減)が必要となります。この菅首相の宣言背景には EU や米国バイデン政権の極めて厳しい削減目標と関係国に
対する削減要求があり、世界を見ると120カ国以上はカーボンニュートラルをコミットしていることがあったからと思われます。
こんな中でうまく立ち回っているのは中国で、2020からの5年間で日本の現在の排出量程度増加しながら2060年に先進国に10年遅れで
カーボンニュートラルを達成しようと言うもので、圧倒的に有利な競争条件下で、コストアップに苦しむ先進国を尻目に世界の
リーダーにのし上がろうという戦略が見え、中国に利点ずくめの感があります。
一方、日本の温暖化外交は京都議定書以来1兆円近いクレジットを購入したり、無理をして高い目標を掲げたり、失敗の連続
です。2050年カーボンニュートラルをいかに実現するか?無理をして既に高い電力料金をさらに上げ、国際競争力を弱める
恐れがあります。炭素技術面では日本は次世代蓄電池としての全固溶体全固体電池の技術とか水素関連技術は特許がトップですが、
太陽光パネルは中国の独壇場だし、車でも日本はハイブリッド車は多いが EV 比率では中国や西洋に遅れをとる。
太陽光風力発電のコストは世界のコストの倍以上、風力発電も3倍のコスト。グリーン水素の製造コストは欧米や中国より高い
など再エネコスト競争力が弱い。
7月21日には第6次エネルギー基本計画て、2030年度の電源構成で再エネを37%程度に増やしそのぶん火力を
下げるという新しい目標が出したが、太陽光の置き場所確保の問題、原発27基フル稼働など課題は大きい。
- 日鉄が直近出したカーボンニュートラルシナリオは @2030年ターゲットとして二酸化炭素排出量30%減を実現
A2050年ビジョンとしてカーボンニュートラルを目指す というもので、その技術は大型電炉での高級鋼製造(広畑製鐵所と
米国に新電炉を造り開発)、鉄鉱石の水素直接還元プロセス(君津にテスト高炉)において第一ステップはコース50で所内
の水素を活用し、第二ステップ はスーパーコース50で外部からの水素調達も使っての水素直接還元プロセスの実現という超革新
技術開発が必要です。
巨額な開発投資も必要ですが、更に実機化には4〜5兆円が必要とされ、製造コストも倍になる可能性があり、カーボンニュートラル
とは鉄鋼業にとって真に存亡の危機と言えます。
- 地球温暖化は本当に人間起因なのか? 休憩をはさんで、佐藤さんが最も言いたかったというテーマです。
ここで、3年前のデータを大幅に増強した膨大な資料を使って、以下の考え方を示しました。
結論としては20世紀末までの温暖化はIPCCの言うような1950年から始まったのではなく小氷期からの自然変動による回復過程であり
人間起因のCO2によるものではない。むしろ200年振りの太陽活動の減退による寒冷化が懸念される。CO2が温暖化の主犯と言うIPCCの
主張と証明は以下の理由で正しくないと思います。
- IPCCによる事実認識の間違い
- IPCCが地球温暖化の証拠として提出したホッケ−スティック(気温推移図)は中世の温暖期や小氷期を隠蔽(クライメートゲート事件)
- 現在、過去千年に経験したことが無い温暖化に見舞われているとの認識
- 98年以降世界の平均気温は横ばいないし停滞(ハイエイタス)
- CO2増加が気温上昇の原因でなく、気温上昇がCO2増加に先行していたとの観測データの存在
- IPCCのシミュレーションには太陽磁場、宇宙線、雲量と気温の変化など宇宙との関わりを考慮していない
- 気候変動の要因について現代科学が知っていることは未だ極めて少なく、判っていることだけを方程式に組んでシミュレーションしても証明した
ことにはならない。
- 46億年の地球史上ゼロに近い一瞬を切り取って論じるスケールの問題ではない。
繰り返しになりますが、本講演は3年前の講演のブラッシュアップ版です。3年前に佐藤さんはIPCCの「地球温暖化は人間起因のCO2」とする
考え方に疑念を抱きましたが、その後 温暖化の予測と実測値の乖離が益々大きくなってきていること、砂漠化するどころか緑化面積が拡大して
いること、東京工大としての気温低下の予測を公表したこと、多くの太陽学者が更なる太陽活動の不活発化と寒冷化を予測していること、などの
新たな証拠を積み上げた膨大な資料を駆使し、休憩を挟んで3時間にわたった講演は、佐藤さんの温暖化問題に対する造詣の
深さを示すとともに、温暖化問題をてこに暗躍する世界の国々に対する危機感、日本の産業界に対する大打撃の危惧、日本の製鉄業の存亡の危機
との認識を示すものでした。
以上の話の詳細は ここをクリック
するか、左の目次欄からご覧ください。
質疑に移り、「なぜ、IPCCに対する反論がマスコミや世の中の意見として、上がらないのか?」に対して、「若い学者は
反論すると失職して食うに困る。従って反論は一部の年寄学者に限られ、国際的なまとまりも弱い。しかしあと10年、温度上昇無しが続くと
自ずとIPCCの主張は崩れるはず」との回答がありました。
長谷川幹事から「既に例会終了予定をかなり過ぎていることを踏まえ、来月の例会で更なる質疑を行い、武田さんの講義も次回としたい」と
提案があり、佐藤さんから読むと良い本として、杉山大志の「地球温暖化のファクトフルネス」(youTubeや電子本)、深井有の「地球はもう
温暖化していない」の紹介があり、次回8月27日に今月テーマの続きをやることで、今月例会を閉めました。お疲れさまでした!
今月の編集者 大庭哲哉
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