USB メモリーはどのぐらいもつか

講師 森田矩夫 さん

 同じフラッシュメモリーを使用していても、USBメモリーとSSDとは使用状況が大きく異なる。ここではUSBメモリー についてのみ論じる。

使用状況の仮定
 前提となるUSBメモリーの使用状況を次の様に仮定する。
   @ 一流メーカーの一番出来の良い製品を使用する。
   A 容量は8GBのものを使用する。
   B 毎回1MBのデーターを書き込む。

推定寿命
 既に述べたように、USBメモリーの寿命は、データ書き換え回数と使用可能期間の二つの要因で規制される。結論を 先に言うと、上述の使用状況で現在(2010年) の技術力では

データ書き換え回数 5,000回
使用可能期間    5年
と 考えられる。

推定根拠
◎ データ書き換え回数
 セルの浮遊ゲートの絶縁体を通して電子の注入・抜き取り回数は製造技術の進歩により100,000回程度と言われている。 しかし、実際のデーターの読み出し・書き込み・消去作業では先に述べた如く、同時に多数セルの電子移動を伴うため、 データー書き換え可能回数はセル電子移動回数より大幅に減少する。その値は、USBメモリーの使用状況で異なるが、上 述の仮定の下で3,000〜5,000回と考えられる。

◎ 使用可能期間
 良好な浮遊体ゲートの中綴じ込まれた電子は、5〜10年間保持されると言うデータが公表されている。しかし、記録容 量増加に伴うせるセル容積の現象で浮遊体ゲートがますます小型化し、閉じ込められる電子量が減少し、保持時間が短く なっていく傾向にある。

◎ 寿命を支配するもの
 我々のUSBメモリーの使用頻度はそんなに多くなく、データー書き換え可能回数が問題となるほどではないと思われる。 そのため、USBメモリーの寿命を律速するのは使用可能期間の方であると推定される

製品の品質
 USBメモリーを構成するフラッシュメモリーや制御チップは、複雑な構造をしているため、製造歩留まりが必ずしも良い とはいえない。半導体メーカーは厳密な検査を行い、検査に合格したもののみが出荷されて組み立て工場で製品化された ものはブランド名を付けられて市場で販売される。ところが、半導体メーカーの検査ではねられたB級品を買い取り、それ らを組み立てて製品としたものが激安品として市場に流れている。8GBでメーカー品は3,000円ぐらいするものが激安品では 1,000円以下で手に入る。
 この両者の間に使用上のどんな差異があるのであろうか。結論から言うと、激安品でも我々の使用程度では十分使える が寿命が短く(それでも2,3年は持つのでは?)、いつダウンするか判らないだけである。激安品を2個パラレルに使用し2年 経ったら捨ててしまうという使い方もあるが、貴重なデータを保存するためには、なるべく定評あるメーカーの製品を使 用することを勧める。

物理的故障
 メモリー救済業者の情報だと、USBメモリーのトラブルの大半はUSBコネクターの損傷のため読み書きが出来なくなったも のであると言われている。コネクターの無理な出し入れやパソコンにUSBメモリーを差し込んだままの移動は避けるべきであ ろう。

結 論

1.一時的な記録メディアとしての使用に徹する。
2.容量は大きめのものを使用する。しかし、あまり大きいのは不可。
   推奨容量=8GB
3.信用おけるメーカー品を選ぶ。
   推奨メーカー=バッファロー
  ノンブランド品は一時的保存用に徹する。
4.大事なファイルは、使用回数の少ない二個のメモリーに同時保存する。
5.長期間保存(例:プログラムファイル)をするのなら新品に保存する。
6.書き換え回数による寿命は気にしない。
7.5年経過したら、使用できても思い切って捨てる。

                                    以上

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