CD/DVDメディアの構造と寿命について《サマリー》

講師 森田矩夫 さん

A メディアの種類
    ○ 再生専用型
     CD-ROMグループ
     DVD-ROMグループ
    ○ 記録可能型
    追記型(色素記録方式) 1回のみ書き込み
          CD-R
          DVD-R, DVD+R
        書き換え型(相変化記録方式) 何回も書き込み・消去
          CD-RW
          DVD-RW, DVD+RW
          DVD-RAM

B メディアの構造
    ○ CD-ROM, DVD-ROM
        ランドという平らな面にピットという細長い凸部があり、ピット長さとピット間距離の組み合わせで情報を形成して
        いる。
    ○ CD-R, DVD-R, DVD-RW
        ランドという凸部と蛇行(ウォーブル)したグルーブという溝があり、グルーブの底の-Rは色素、-RWは相変化層に情
        報を記録する。ランドには所々にプリピットというアドレス情報を得るための穴があいている。
    ○ DVD+R, DVD+RW
        ランドと情報を記録するグルーブがあるのは上述の-属と同じであるが、ウオーブル周期が細かくプリピットは無い。
    ○ DVD-RAM
        グルーブ及びランドが一定間隔で切れていて、その間にヘッダというアドレス情報を入れた所がある。データはグル
    ーブだけでなくランドにも記録する。また、一回転毎にグルーブとランドが入れ替わる様になっている。
        PDL、SDLという予備領域があり、欠損セクターを補修できるようになっている。

C メディアの記録層
    ○ 色素記録層
        シアニン系:      太陽誘電が世界に先駆けて実用化した色素である。記録性は非常に良いが耐光性がやや劣る。
        アゾ系:          三菱化学が採用している。耐光性・耐熱性に優れる。
        フタロシアニン系:最も耐光性に優れている。三井化学が実用化したがDVDに使用できないため撤退してしまった。
                      現在、台湾系のCDに広く使用されている。
    オキソライフ色素:富士フイルムが開発した色素。アゾ色素より高速記録性に優れるが 耐光性はやや劣るといわれ
                      ている。
    ○ 相変化記録層
        レーザー光加熱により結晶相と非晶質相の間を相変化させて反射光の強度の違いで記録情報を読み出す。合金系と
    してはアンチモン・テルルにゲルマニウム、インジウム、スズ等を添加した物が採用されている。

D メディアの寿命に及ぼす要因
    ○ 色素
        記録層に用いられる色素は保管中光の影響を受けるのでメディアは遮光して保管しなければならない。
    ○ 相変化合金
        メディアの保管温度が高いと非晶質化した記録マークが結晶化して消失し易くなるので、なるべく涼しい所で保管し
    なければならない。
    ○ 反射層
        アルミニウムや銀が用いられているが、表面が酸化されると反射率が減少したり層間剥離が起こる。水分があると加
    速されるのでメディアはなるべく乾燥したところで保管する。
    ○ 表面保護層
        ディスク面に記入するときはアルコール系フエルトペンで記入する。デスクに粘着ラベルを貼るのは避ける。
    ○ 基板
        ディスク基板は非常に高品位のポリカーボネイト樹脂が使われている。世界中のディスクは帝人化成をはじめとする
    日本のメーカーのメディア用ポリカーボネイト樹脂を使用しているので品質的には問題ないが、乾燥した所で保管中
    の反りを防ぐため立てて保管する必要がある。

E メディア製造法
    ○ スタンパの作製
        鏡面研磨したガラス板にポジ型感光性樹脂を塗布し、レーザービームレコーダーでパターンを焼き付ける。現像液で
    感光部分を溶解した後ニッケルで電鋳してメタルマスターを作製する。これを金型に合わせて打ち抜いてスタンパが
    完成する。
    ○ ディスク作製
        金型にスタンパを装着する。ポリカーボネイトペレットを加熱し、融けたポリカーボネイトを閉じた金型内に射出後、
    加圧して型締めしながら冷却し、金型からポリカーボネイト 板を取り出す。記録層・反射層・保護膜を付け、DVDの
    場合は記録基板とダミー基板(または記録基板)を貼り付ける。
        メディアの品質に最も影響を及ぼすのはディスクの出来である。その為には、射出成形時に十分の冷却時間を取るこ
    とと一枚のスタンパで過剰枚数を作らないことである。台湾ブランドの品質の問題はこの二点に起因しているといわ
    れている。

F ドライブ
    ○ 構造
        スピンドルモーター・光学ピックアップ・トラッキングモーター等の構成部品の解説とフォーカシング・トラッキン
    グ・チルト補正等について紹介したがここでは省略する。
    ○ DVDドライブの種類

G メディアの寿命
    ○ 下記文献参照
        長期保存のための光ディスク媒体の開発に関するフィージビリティスタディ
        機械システム振興会(委託先 デジタルコンテンツ協会)
         http://www.dcaj.org/h17opt/17opt_youshi.pdf

H 長期保存(案)
    ○ 保管
     ケース : 黒色ハードケースに入れる
     位 置 : 垂直に立てて保管
     保管函 : @ 重要ディスク→カメラ用乾燥剤入り大型黒色保管函
          A 一般ディスク→CD用20枚入り黒色プラスチック函
     場 所 : @ 重要ディスク→押入
            A 一般ディスク→ガラス戸棚
     部 屋 : 直射日光が差し込まない北側の部屋
      [参考]
       JIS Z6017:2006 電子化文書の長期保存方法
       日本記録メディア工業会
        http://www.jria.org/index.html
    ○ 書き換え
     色素系 : フタロシアニン系/アゾ系で10年
                 ジアゾ系で5年
        相変化系 : 20年
      [参考]
              JIS Z6017:2006 電子化文書の長期保存方法
I 備考
    ○ 推奨メディア
     CD‐R・・・・・・三菱、太陽誘電、imation
     CD‐RW・・・・・三菱
          DVD±R・・・・・三菱、Maxell
          DVD±RW・・・・三菱、リコー(+RW)
          DVD‐RAM・・・Panasonic、Maxell
              DVDの台湾ブランドは買わないほうが良い。
          “安物買いの記録失い”
    ○ 推奨ドライブ
     PIONER製
  ○ ゴミ掃除法
          メディアをドライブに入れる前に表面に付いたゴミを写真用品の「ブロアー」で吹き飛ばすと良い。目に見えない
          ゴミでもメディアに取っては巨大なバリヤーである。

                                           以上 2007-02-23

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