「Word」 による「小冊子」の作成
講師 大谷 信郎 さん
パソコンで文書を印刷し、製本して小冊子を作るというニーズは、可成り有るのではないでしょうか。ビズネス用の文
書から自分史、歌集・句集、写真を入れた紀行文、或いは写真のアルバムやグループの会報といったものなど、数え上
げたら切りがありません。そのようなニーズを実現する方法には色々ありますが、Wordによる方法の一例を紹介します。
使用するプリンターによって、印刷可能な最大用紙サイズの制約があり、又製本の仕方に
より冊子の大きさや体裁が決まります。
また、Wordには色々な印刷機能がありますので、ここでは一例として、「両面印刷」して「中綴じ」にする「冊子印刷」の方法
を以下に記します。
中綴じの場合、冊子の出来上りサイズは、印刷用紙の半分の大きさになるので、A4版プリンター使用の場合は、A5
版以下の冊子を作ることになります。
なお、タテ書き文書とヨコ書き文書では、冊子とした時の開き勝手が逆になりますが、Wordはこれを自動的に処理して
くれます。
まえおき
1.製本の種別・・・・平面綴じ(折なし)・・・・平綴じ、和綴じ、無線綴じ
(折あり)・・・・アジロ綴じ(* 手間がかかる)
中綴じ (二つ折り)・・金具綴じ、糸綴じ
本綴じ (折あり)・・・・ * 素人には難しい
2.「Word」による冊子の作成
通常の印刷による方法 → 平面綴じ(片面印刷/両面印刷)になる。
「冊子印刷」による方法 → 中綴じ、アジロ綴じ(両面印刷)ができる。
3.紙数・・・・平面綴じ → 平綴じ・無線綴じ(片面印刷/両面印刷)、アジロ綴じ(両面印刷)・・・ いずれ
も厚手の冊子も作れる。
中綴じ → 綴じ金具の制約がある。糸綴じで或る程度は対応できる。小口のセリ出しの問題
がある。
4.「冊子印刷」の頁サイズ(プリンターの制約) A4用紙によるA5版冊子(教科書サイズ)
B5用紙によるB6版冊子(新書版より少し広幅)
A5用紙によるA6版冊子(文庫本サイズ)
5.「Word」 による小冊子印刷の設定と操作 (詳細は次項以降参照)
ア.Wordの設定
イ.片面プリンターによる両面印刷の場合(例:Canon製 PIXUS 560i)
プリンターの給・排紙の方式により、「両面印刷」の指定とウラ面印刷に移る時の用
紙のセット方法が異なる。
ウ.自動両面印刷機能付プリンターの場合(例:HewletPackard製 psc2150)
6.製本・・・・中綴じ → 基本的にはホチキス製本
中綴じができるホチキスが必要。これが無い時は、不要な古雑誌等の上に用紙の束を置き、
表紙側からホチキスを開いて当て、レバーを押して針を食い込ませる。用紙の束を古雑 誌
から離して、内側に突き出ている針の先をペンチなどで折り曲げる。
紙数が多く(20枚80頁以上)ホチキスが使えない場合は、錐でメドを開け、糸でかがって
綴じる。
表紙を別紙で作って一緒に綴じることもある。
【Word】の冊子印刷の設定とその手順
◎Wordのバージョン:2003
◎A4版用紙を二つ折り → 出来上がり冊子のサイズ:A5版 ・・・ とした例
◎「縦書き」文書の場合、元の文書の頁数は、予め4の倍数になるように調整すること。(別項の「参考事項」参照)
頁数の調整は末尾に空白の頁を挿入して調整しても良い。(「横書き」は調整不要)
手順 | ダイアログボックス(DB) | タブ | 項目 |
項目2又は指定内容 | 指定内容2又はコメント |
1 | Word の「ページ設定」 | 用紙 | 用紙サイズ |
A4 | B5、A5もある |
2 | 余白 | 複数頁の印刷設定 →印刷の形式 | 本(タテ方向に谷折り) | ヨコ書・タテ書共通 |
本(タテ方向に山折り) | ●(指定しないこと) |
余白 | 内側 | ★用紙の外側(左右) (注1) |
外側 | ★綴じ目の脇(中央部) (注1) |
1冊当の枚数 | すべて | (注2) |
印刷の向き | ヨコ | 自動設定される (注3) |
- (注1)
- 指定項目の表現が逆転している。
いずれもプリンターの紙送り余白より大きい値を指定する。(縦書き、横書き共通) (別項の「参考事項」参照)
プリンターの機種によっては、紙送り余白無しの「フチ無し印刷」の指定ができるものがある。この場合、用紙の外側
・内側の余白を小さくすることが出来るが、印刷品質が自動的に写真用に変わるので、それらの設定を変更する必要が
ある。
- (注2)
- 文書の総頁数より少ない値を入力すると、複数の小冊子に分割して印刷される。
「本綴じ」や「アジロ綴じ」用に分割印刷する場合は、分割印刷する部分の頁数(印刷される用紙の枚数の4倍)の値を指定
する。
- (注3)
- 自動的に「ヨコ」にならない時は、「印刷の形式」の指定をやり直す。
参考事項 (Wordの設定用語とその設定の結果について)
●山折り・谷折り、タテ書き・ヨコ書きの別による頁構成の可否
山折り | タテ書き | 4の倍数頁ー0 | NG |
全ての頁が左右入れ違う 冊子の頁順が逆に印刷され、冊子の開き勝手も逆になる |
4の倍数頁ー1 | NG |
4の倍数頁ー2 | NG |
4の倍数頁ー3 | NG |
ヨコ書き | 4の倍数頁ー0 | NG |
4の倍数頁ー1 | NG |
4の倍数頁ー2 | NG |
4の倍数頁ー3 | NG |
谷折り | タテ書き | 4の倍数頁ー0 | OK |
縦書きはこのケーのみOK |
4の倍数頁ー1 | NG | 元の文書の第1頁のみ入れ違う 第1頁が最終頁の位置に配置され、本来第1頁が入る べき最初の頁の部分は空白になる |
4の倍数頁ー2 | NG |
4の倍数頁ー3 | NG |
ヨコ書き | 4の倍数頁ー0 | OK | 横書きは全てOK |
4の倍数頁ー1 | OK |
4の倍数頁ー2 | OK |
4の倍数頁ー3 | OK |
- ● 余白指定の内側、外側の意味(定義)
-
ページ設定DBの「内側」の値を増減すると、そこに表示されるミニ・プレビューでは、用紙中央の綴じ目脇の余白が変化
するように見えるが、印刷の結果は綴じ目の反対側(外側?)の余白幅が変っている。
又、ここに用紙下端の印刷不能部分(余白)の幅より小さい値を指定すると、余白の修整を求められ、自動修正にすると印
刷不能部分の幅に変わる。これを無視して印刷しようとすると警告が出て、さらに無視して印刷を実行すると、綴じ目
の脇(内側?)の余白が印刷不能部分の幅に変えられ、同時に外側(用紙の左右の端)の一部が印刷されない。
この現象は、ヨコ書き・タテ書きに関係なく現れる。フチ無し印刷ができるプリンターでは、回避できるかもしれない。
自動両面印刷機能のないプリンターの設定と操作
◎ 用紙のオモテ面に印刷するプリンター(例:Canon PIXUS560i)
この種のプリンターは通常、給紙トレイが背後にあって、印刷された用紙は前面に排出される。 或いは、給紙トレイが
前面下部にあって、印刷された用紙は背後に排出される。
(★用紙の裏面に印刷するプリンターの場合は、次項の例を参考にしてください)
- 下表のとおり設定が終わったら、「印刷」DBに戻り、「OK」ボタンをクリックすると、先ずプレビューが表示され
るので、確認の上、「印刷開始」ボタンをクリックして、オモテ面の印刷を実行する。
- オモテ面の印刷が全て終わったら、モニターのガイドに倣って、排出された用紙の重なりをそのまま、文書の天地を
変えないように裏返してトレイに再セットし、「OK」ボタンをクリックして、ウラ面の印刷を実行する。 オモテ・ウ
ラとも正順に印刷される。
全ての印刷が終わって排出された用紙はそのままの重なりで中綴じ製本ができる。
手順 | ダイアログボックス(DB) | タブ | 項目 |
項目2又は指定内容 | 指定内容2又はコメント |
3 | プリンターの「印刷」 | . | 「手差し両面印刷」 | チェックを付けない(チェックボックスの表示なければ不要) |
4 | 「印刷」の「プロパティ」 | 基本設定 | プレビュー | チェックを付ける | . |
5 | ページ設定 | 用紙サイズ | A4 | Word のページ設定に合わせる |
印刷の向き | ヨコ | . |
両面印刷 | チェックを付ける | . |
とじ方向 | 長辺 | . |
図1 「印刷」DB
図2 「プロパティ」「基本設定」タブ | 図3 「プロパティ」「ページ設定」タブ |
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自動・両面印刷機能付きプリンターの設定と操作
(例:HewletPackard 製 psc2150)
このプリンターは、用紙のウラ面に印刷する。この種のプリンターは、通常、給紙トレイが前面下部にあって、印刷され
た用紙も前面に排出される。或いは、給紙トレイが背後にあって、印刷された用紙も背後の給紙トレイの手前に排出され
る。
- 下表のとおり設定し、「印刷」DBに戻って「OK」ボタンをクリックすると、やがてプレビューが表示されるので、それ
を確認の上、コマンドバーの「印刷」アイコンをクリックして、印刷を実行する。
- 表裏の頁が自動的に逐次印刷され、正しく重ねられて排出されるので、そのまま中綴じ製本ができる。
★手順5の「機能」タブの「両面印刷」の「自動」のチェックを外すと、オモテ面、ウラ面を別けて印刷する。
(手動で裏返す)
手順 | ダイアログボックス(DB) | タブ | 項目 |
項目2又は指定内容 | 指定内容2又はコメント |
3 | プリンターの「印刷」 | . | 「手差し両面印刷」 | チェックが付いていたら外す(注4) |
4 | 「印刷」の「プロパティ」 | レイアウト | 用紙サイズ | A4 | Word のページ設定に合わせる |
印刷の向き | ヨコ | (注5) |
5 | 機能 | 「両面印刷」に チェックを付ける | 綴じ | 短辺(注6) 自動(注7) |
用紙1頁当たり | 1頁 |
プレビュー | チェックを入れる(注8) |
- (注4)
- チェックボックスが表示されていない時は、「プロパティ」「機能」タブの「両面印刷」のチェックを一旦外し、「印刷」に
戻って「手差し両面印刷」にチェックが無いことを確認する。これを怠ると表裏で天地が逆になる。
- (注5)
- 「タテ」に指定すると右外側の余白が広くなり、左右の頁の配置が不均等になる。
- (注6)
- 「(注8)」の印刷プレビューでは、綴じリングが横方向に表示される。「長辺」に設定すると、表裏の天地が逆に印刷さ
れてしまう。この時の印刷プレビューでは、リングが縦方向に表示される。
- (注7)
- 1枚毎に自動的に表裏を裏返して印刷する。
- (注8)
- hpプレビューは表示までに時間がかかる。「作業中」の表示(砂時計など)がなく判り難いので注意のこと。
図1 「印刷」DB
図2 「プロパティ」「レイアウト」タブ | 図3 「プロパティ」「機能」タブ |
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− 完 ー
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