Wordのトラブルの解決

講師 武田正男さん  (2015-2-27)


はじめに

 Wordの文書作成では、さまざまなトラブルに遭遇することがある。今回は、日頃使用頻度の高い「スタイル設定」・ 「画像配置」についての総合的な説明と演習を行い、「文字表示」の事例についても触れる。

T.スタイル設定

 読みやすい文章を作るためには、フォント・文字サイズ・段落スタイルの選択が大切である。

第1図

1.フォント

フォントは文字列のイメージを左右する大切な要素である。「ホーム」タブのフォントで変更できるが、 半角英数字のバランスが悪くなることがある(第1図)。これは半角英数字にも「日本語用のフォント」が使われたせいである

第2図

 フォントには「日本語用のフォント」と半角の英数字と記号だけに設定される「英数字用のフォント」がある。よく使う フォントの組み合わせは第2図のとおり。実際の設定では、文字列全体を選択しておいて日本語用→英数字用の順番に フォントを選ぶ。
 最近はメイリオが使われることもある。メイリオは日本語 版の新しいフォントとして、マイクロソフト社のOSにVista以降標準搭載されている。欧文部がプロポーショナルフォント、 和文部が等幅フォントになっているため、全体としてはプロポーショナルフォントになっている。また、フォント自身が 必要とする行高がやや高いのが特徴である。

第3図

 一旦設定したフォントは大切にしたい。文字列は通常コピー元の文字スタイルで貼りつけられるが、貼り付け先の書式を 反映させることも出来る。貼り付けを行うと貼り付け先のすぐ下に表示される「貼り付けのオプションボタン」を利用する。 メニューは <元の書式を保持> <書式を結合> <テキストのみ保持> の三つである(第3図)。<書式を結合>では 貼り付け先の書式と同じ書式で貼りつけられる。
 Wordにはこのほか、文書全体のフォント・配色・効果のパターンをまとめて変更出来る「テーマ」という機能がある。

2.段落スタイル

第4図
  • 段落

     段落とは、改行の「段落記号」で区切られたひと続きの文字列をさす。「段落スタイル」は必ずこの段落ごとに設定される。
     段落スタイルを設定する時は対象の段落を選択し、「ホーム」タブの段落ブロック(第4図)でスタイルを選ぶ。設定対象の段落 が一つの場合は、段落内にカーソルを移動するだけでよい。
     改行をEnterで行うと段落が変わる。Shift+Enterで改行すると、段落は変わらず継続される。

  • 行間調整

     行間の調整も大切である。行間とは「行の上端から次行の上端まで」の距離、つまり「文字サイズ+行と行の空き」となる。 初期設定では文字サイズが10.5ポイント、行間(行送り)が18ポイントなので、行と行の空きは7.5ポイントになる。 (1ポイントpt=約0.3514mm)

    第5図
    第6図

     文書の作成中、いきなり行間が広がって困ることがある。これはWordの行間に「行送りの整数倍で増減する」という制限 がかかっているせいである。例えば「行送り」が18ポイントの場合、行間は18ポイント→36ポイント→54ポイントと変化する。 逆に文字サイズをどれほど小さくしても、行間は18ポイント以下にはなってくれない。行間を本来の1行(文字サイズ+若干 の空き)にしたい時は制限を解除する。段落内にカーソルを置く→「ホーム」タブの「段落」ボタンをクリック→「インデント と行間隔」タブ→「1ページの行数を指定時に文字を行グリッド線に合わせる」をオフにする(第5図)。Wordでは行間を 「行グリッド線」に合わせるという制限が、初期設定にあるからである。 このダイアログボックスで行間の詳細な設定も可能である。
     また、文書全体の制限を外しておくことも出来る。その場合は「ページレイアウト」タブ→「ぺージ設定」ボタンをクリック →「文字と行数」タブ→「文字数と行数の指定」→「標準の文字数を使う」をオンにする(第6図)。
    「行グリッドに合わせる」とは段落の1行の高さを文書の基本行高に合わせるということであり、基本行高が異な る段落が途中にあれば、以降の行はグリッド線から外れてしまう。この行グリッドのオプションをはずして「標準の文字数を使う」 を選択した場合、行高は各行で使われているフォントの種類と行内の最大のフォントサイズによって調整される。 尚、行間などの書式の詳細設定の確認は、Shift+F1で行うことが出来る。

  • インデント

     インデントマーカーについては下記のサイトに基本的な説明が記載されている。 http://kokoro.kir.jp/word/indent.html
      このサイトでは、「段落を選択して操作を行う」と「左インデントは、1行目のインデントとぶら下げインデントの間隔を 保ったまま、両方のインデントを一気に動かせる」という2点を強調している。

    第7図

     インデントの変更にはインデントマーカー以外に次のような方法もあるが、それぞれ 一長一短があり状況に応じて使い分ければ良い。 @「スペースキー」 A段落ブロック の「インデントの設定と解除」キー(第7図) B「ホーム」タブの「段落」ボタン→ 「インデントと行間隔」タブ→インデント(第5図)。
     行間の時と同様にShift+F1による書式の詳細設定でインデントの確認が出来る。

第8図
第9図

U.画像配置

 Wordの初期設定では、画像はカーソル位置の「行内」に挿入される。大きな文字のような形になっているため、ドラッグ しても別の行内にしか動かせない。画像をぺージ内の好きな場所に配置するには、図ツール「書式」タブの「文字列の折り 返し」を「行内」から「四角」「前面」などに変更する(第8図)。これで自由に移動できるようになる。「四角」では文字列 は画像の周囲に配置される。位置の微調整には「Ctrl+矢印キー」を使うと便利である。
 行内から出た画像は、特定の段落につながれ、その段落と一緒に移動するようになる。連結先の段落 は「アンカー」と呼ばれるいかり形のマークで確認できる。(表示されない時は「ホーム」タブの「編集記号の表示/非表示」 をオンにする)。
 画像を配置場所から動かしたくない場合は、図ツール→書式→位置→その他のレイアウトオプション→位置タブのダイアログ ボックスで「文字列と一緒に移動する」のチェックを外す(第9図)。このレイアウトダイアログボックスはレイアウト全般の 詳細調整に使える。









第10図
第11図
第12図

V.文字表示

 Wordの文字表示では、句読点「。」や「、」が行頭に来たりしない。これは行頭に表示しない文字を「行頭禁則文字」、 行末に表示しない文字を「行末禁則文字」にして、自動調整しているからだ。
 「ファイル」タブから「Wordのオプション」を開き、「禁則文字の設定」を「高レベル」指定すれば、禁則文字に行頭 では読みにくい小さい文字を追加できる(第10図)。
 文字の入力中に困るのは、自動設定される書式。特にハイパーリンクはURLなどが下線付きの青文字に変わり、そのままで 印刷される。[Backspace]で解除しても良いが、この自動設定を解除するには、「Wordのオプション」で設定をオフにする。
 「文書校正」→「オートコレクトのオプション」→「入力フォーマット」タブ→「インターネットとネットワークのアドレス をハイパーリンクに変更する」のチェックを外す(第11図)(第12図)。






第13図第14図

 縦書き時に、半角文字が横向きになってしまうのも好ましくない。日付けなど2桁までの数字は、「縦中横」機能で 並べるのが良い(第13図)。
 全角文字に直す場合は、該当する文字列を選択して、「ホーム」タブの「文字種の変換」から「全角」を選ぶ(第14図)。



〈参考〉

*Snipping Tool

 画像配置に関連してSnippinng ツールをタスクバーにおいて使えば非常に便利である。使い方については下記URLに 記載されている。
http://windows.microsoft.com/ja-jp/windows/use-snipping-tool-capture-screen-shots#1TC=windows-7



<参考文献>
日経パソコン 2014年4月14日号 Wordの「困った!」を解決 日経BP社
日経パソコン 2014年10月27日号 Wordのスタイル設定 日経BP社
Word2010全機能バイブル 2010年11月25日 技術評論社

                                                以上