令和5年12月15日(金) 代々木倶楽部
兼題【 ゆず湯 】
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行く年や疫病神の歩く音 | 先生 仙田 洋子 |
拭ひやる五体に柚子の湯の匂ひ | 渡辺 幸江 |
介護者の笑みや勤労感謝の日 | 今林 靖博 |
アフガンの砂漠へ冬日ナカムラ忌 | 齊藤 郁 |
冬至湯や寄り来る柚子を突き放す | 関口 経子 |
自由得て自在ならざり散紅葉 | 竹下 勝人 |
冬の夜の火を焚き祈る社かな | 長澤 敦子 |
若返る夢を柚子湯に沈めをり | 中野 東音 |
手術痕つくづく見入る冬至の湯 | 中村 光男 |
柚湯焚く五右衛門風呂の薪を割る | 野口ひろし |
帰省して先ずは柚子湯と母勧め | 芳賀 望實 |
迫りくる阿蘇連山や冬至の湯 | 増田 浪枝 |
令和5年11月17日(金) ネット句会(臨時)
兼題【 綿虫 】
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病む鳥をあたためてゐる冬日かな | 先生 仙田 洋子 |
余生とておしやれもしたし菊日和 | 松倉美智子 |
箒目をただして神を迎えけり | 渡辺 幸江 |
密に落ち寄木のごとき櫟の実 | 今林 靖博 |
粧へる山に隠れし間歩の闇 | 齊藤 郁 |
菊盛る母の声せぬ母の家に | 関口 経子 |
薄紅の雲居に白き後の月 | 竹下 勝人 |
零れ聞くベースの音よ枯葉舞ふ | 長澤 敦子 |
天狗跳ね雲取山の草紅葉 | 中野 東音 |
戦場に続いてゐるか枯野道 | 中村 光男 |
立冬や咲く朝顔の数数ふ | 野口ひろし |
鎌挙げし枯蟷螂の気魄知る | 芳賀 望實 |
老骨にもう鞭打てぬ寒夕焼 | 増田 浪枝 |
令和5年10月20日(金) 於 代々木倶楽部
兼題【 椋鳥 】
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槌の音鑿の音して秋日和 | 先生 仙田 洋子 |
白蓮の千坪屋敷萩揺るる | 増田 浪枝 |
車椅子押す身乗る身に秋の風 | 松倉美智子 |
水引草万葉人の通り道 | 渡辺 幸江 |
ベランダに揺れて干さるる貰い柿 | 今林 靖博 |
連奏の琴の調べや萩日和 | 齊藤 郁 |
庭を舞う蜻蛉眺めて長電話 | 関口 経子 |
遺跡掘る手許に舞ふや秋の蝶 | 竹下 勝人 |
秋祭街駆け巡る白き足袋 | 長澤 敦子 |
島影のいくつ間近に青蜜柑 | 中野 東音 |
月天心畔道黒き千枚田 | 中村 光男 |
夕まぐれ椋鳥すだく欅かな | 野口ひろし |
椋鳥や群にて生きし吾と似て | 芳賀 望實 |
令和5年9月15日(金) 於 代々木倶楽部
兼題【 月 】
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鳥渡る死者の埋もれし瓦礫の地 | 先生 仙田 洋子 |
人生はほどほどが良し月見酒 | 芳賀 望實 |
間引菜や明治の系譜子沢山 | 増田 浪枝 |
浴衣の子さらりと立ちて席譲る | 松倉美智子 |
兄嫁の句集上梓や天高し | 渡辺 幸江 |
縮れ葉の庭木に水を月皓皓 | 今林 靖博 |
影法師踏んで遊ぶ娘望の月 | 齊藤 郁 |
白馬麓花咲く蕎麦と走り蕎麦 | 関口 経子 |
網を打つ赤銅の腕秋暑し | 竹下 勝人 |
月光に一際浮かぶ森の宿 | 長澤 敦子 |
松原の風の道きて月の浜 | 中野 東音 |
点滴のポール片手の月見かな | 中村 光男 |
夏ばての身を横たへて夜半の月 | 野口ひろし |
令和5年8月18日(金) 於 代々木倶楽部
兼題【 天の川 】
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真つ黒き折鶴もあり原爆忌 | 先生 仙田 洋子 |
祖父逝きて七十八年長崎忌 | 野口ひろし |
蜩や過疎の村史を拾い読む | 芳賀 望實 |
茅葺きの山門くぐり秋の声 | 増田 浪枝 |
遠くより近づく戦油照り | 松倉美智子 |
八月やただひたすらに鶴を折る | 渡辺 幸江 |
朝に来て別れのソロか庭の蝉 | 今林 靖博 |
虫食いの村史読む夜の野分かな | 齊藤 郁 |
タオル手に棚経の僧急ぎ来る | 関口 経子 |
天の川湯気噴く地球浮かべたる | 竹下 勝人 |
天の川天文台のドーム開き | 長澤 敦子 |
夏木立ぬけて故郷の橋渡る | 中野 東音 |
蜻蛉飛ぶ世に諍ひの無きごとく | 中村 光男 |
令和5年7月21日(金) 於 代々木倶楽部
兼題【 白南風 】
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孔雀らの次々飛んで夏旺ん | 先生 仙田 洋子 |
対岸の見えぬ長江大夕焼 | 中村 光男 |
梅雨入りや背に腎瘻の管着けて | 野口ひろし |
白南風や背筋伸ばして傘寿会 | 芳賀 望實 |
大ジョッキ沖の白波合せ飲む | 増田 浪枝 |
巴里祭眺めるだけのファッション誌 | 松倉美智子 |
半夏生藍の立ちたる硝子ペン | 渡辺 幸江 |
赤子抱く観音堂に蓮の花 | 今林 靖博 |
白南風やきりりと締める博多帯 | 齊藤 郁 |
白南風や着物の裾を乱し行く | 関口 経子 |
揚羽舞ふ花好きの家の客となる | 竹下 勝人 |
突然の雷鳥親子尾根の道 | 長澤 敦子 |
島影の沈みゆくなり烏賊釣火 | 中野 東音 |
令和5年6月16日(金) 於 代々木倶楽部
兼題【 沖縄慰霊の日 】
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ごくごくと水飲むばかり沖縄忌 | 先生 仙田 洋子 |
神宿る山や夏雲湧くところ | 中野 東音 |
鎌倉に謀反の匂ひ七変化 | 中村 光男 |
沖縄忌摩文仁の沖の波高し | 野口ひろし |
黙祷に祖父母を想う沖縄忌 | 芳賀 望實 |
沖縄忌夢砕かれし墓幾つ | 増田 浪枝 |
炎天や転ばぬようにして転ぶ | 松倉美智子 |
時の日やカラクリ時計のんびりと | 渡辺 幸江 |
槌音の響く首里城花でいご | 今林 靖博 |
十薬の密に咲きたる杉生かな | 齊藤 郁 |
薔薇園の先は軍港沖縄忌 | 関口 経子 |
毟られし命や沖縄慰霊の日 | 竹下 勝人 |
白浜は何も語らず沖縄忌 | 長澤 敦子 |
令和5年5月19日(金) 於 代々木倶楽部
兼題【 鯉幟 】
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喪の家の百日紅ほろほろと散る | 先生 仙田 洋子 |
コンサートの余韻を残し風薫る | 長澤 敦子 |
若草や母の里なる渡し跡 | 中野 東音 |
葉桜や周回遅れの走者来る | 中村 光男 |
ベビーカー小さき鯉の幟立て | 野口ひろし |
城跡に子等掲げたる鯉のぼり | 芳賀 望實 |
目力にこだはり描く鯉幟 | 増田 浪枝 |
母の日を明治の母は知らず逝き | 松倉美智子 |
夏めくやプレイスマット色替へて | 渡辺 幸江 |
遠き日の祖父の鯉こく鯉幟 | 今林 靖博 |
嬰児を抱き見上ぐる鯉のぼり | 齊藤 郁 |
どくだみの縁取る小径夕まぐれ | 関口 経子 |
春の宵髑髏も笑まふ博物館 | 竹下 勝人 |
令和5年4月21日(金) 於 代々木倶楽部
兼題【 桜 】
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花散るや押し寄せてきし鯉の口 | 先生 仙田 洋子 |
知らぬどち交はす一言初桜 | 竹下 勝人 |
春の宵ホテルのバーの異邦人 | 長澤 敦子 |
黒土の命の香り春の風 | 中野 東音 |
藤棚や本読む母と眠る児と | 中村 光男 |
ストーマの取り替え腹に春の風 | 野口ひろし |
訪れし廃校の花七分咲き | 芳賀 望實 |
先ず香楽しみ新茶妻と飲む | 服部 謙治 |
夕桜うすむらさきに池を染め | 増田 浪枝 |
木の芽風戦争知る樹知らぬ樹も | 松倉美智子 |
父の碑に三代揃ひ里桜 | 渡辺 幸江 |
地に咲くや触れなば崩るる落椿 | 今林 靖博 |
両の手で湯呑み抱ゆる花の冷え | 齊藤 郁 |
花吹雪舞うあの辺が夫の墓 | 関口 経子 |
雛菊俳句会では、4月21日、代々木倶楽部で3年2か月振りに対面での句会を楽しみました。これからも月1回の顔合わせを大切にしていきたいと思います。

令和5年3月3日(金) ネット句会
兼題【 雛祭 】
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春の水十指を抜いてしづかなり | 先生 仙田 洋子 |
江戸はこう京都はこうと雛談義 | 関口 経子 |
雛の間に寄添ふ影や兄妹 | 竹下 勝人 |
花生けて思い出ばかり姉の雛 | 長澤 敦子 |
東風吹くや一番ホームに白き富士 | 中野 東音 |
捨てきれぬわが青春の桜貝 | 中村 光男 |
雛祭り古きこけしも拭き清め | 野口ひろし |
空港のロビーで微笑む雛かな | 芳賀 望實 |
山笑ふ田舎の墓に行く車窓 | 服部 謙治 |
潮の香の届く石段雛飾る | 増田 浪枝 |
苗札に実生のいわれ書きしるす | 渡辺 幸江 |
爆音と硝煙の街春寒し | 今林 靖博 |
唐臼の音の響きや里の春 | 齊藤 郁 |
令和5年2月3日(金) ネット句会
兼題【 梅 】
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檜皮葺き雪解滴をくぐり行く | 齊藤 郁 |
手つかずの夫の机に水仙花 | 関口 経子 |
絵馬の垣めぐる社や梅ふふむ | 竹下 勝人 |
北風に日溜り探す散歩道 | 長澤 敦子 |
大寒の空へ神鈴吸はれけり | 中野 東音 |
風花や蘇州の路地の石畳 | 中村 光男 |
柊をさす家もなく日暮かな | 野口ひろし |
梅が香やあと数日で退院日 | 芳賀 望實 |
寒風や友の訃報に襟を立て | 服部 謙治 |
長病みの姉の曲屋梅真白 | 増田 浪枝 |
梅白し麻酔残りし老いの眼に | 松倉美智子 |
七つ子の初めての句や梅香る | 渡辺 幸江 |
大皿にぎょろりと睨む金目鯛 | 今林 靖博 |
令和5年1月20日(金) ネット句会
兼題【 雪女 】
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広重の空の青さや大旦 | 先生 仙田 洋子 |
母と娘のお節料理や婿を待つ | 今林 靖博 |
初雪や前垂れ白き六地蔵 | 齊藤 郁 |
床の間に「無事」の軸かけ師走尽 | 関口 経子 |
北窓をことりと鳴らし雪女 | 竹下 勝人 |
初春の夢多きかな太鼓の音 | 長澤 敦子 |
真ん中に聞き上手の子雑煮箸 | 中野 東音 |
雪女郎夜汽車の窓を覗きゆく | 中村 光男 |
二年振り賑ふ氷川初詣 | 野口ひろし |
太鼓鳴り懸かり稽古の息白し | 芳賀 望實 |
ラグビーのボール抱きしめ突進す | 服部 謙治 |
姿よき松にからみて雪女 | 増田 浪枝 |
寒紅の似合ふ百寿になりたしよ | 松倉美智子 |
餅花の高々と揺れ前座敷 | 渡辺 幸江 |
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