令和4年12月2日(金) ネット句会
兼題【 クリスマス 】
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凍蝶を壊さぬやうに手につつむ | 先生 仙田 洋子 |
木枯らしが乗り込んでくる無人駅 | 渡辺 幸江 |
(皆既月食)
赤い月兎は追われ怪鬼棲む | 今林 靖博 |
星明りサンタに願うゴム長靴 | 齊藤 郁 |
大根煮好きと言う子のおませ顔 | 関口 経子 |
行間に止まりしままの冬蚊かな | 竹下 勝人 |
視野検査終えて見上げる冬の空 | 中澤 啓子 |
夜半の冬薪の炎の登り窯 | 長澤 敦子 |
冬日より冬日へ堀に沿ひゆけり | 中野 東音 |
点滴のボトルの向う初冠雪 | 中村 光男 |
湯豆腐や俳句は余情万太郎 | 野口ひろし |
蝋燭の炎の影絵クリスマス | 芳賀 望實 |
今もなお枕元見るクリスマス | 服部 謙治 |
電飾のトンネルを抜け降誕歌 | 増田 浪枝 |
歳晩の込み合いてきし冷凍庫 | 松倉美智子 |
令和4年11月4日(金) ネット句会
兼題【 秋深し 】
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草の絮遊郭跡にからみあふ | 先生 仙田 洋子 |
マスク下で返す微笑み秋桜 | 松倉美智子 |
振袖は祖母の手刺繍七五三 | 渡辺 幸江 |
体操の帰りの土産銀杏の実 | 今林 靖博 |
復旧の記念列車や初紅葉 | 齊藤 郁 |
炉開きや温灰に置く香二つ | 関口 経子 |
栗を喰ふ縄文びとの貌で喰ふ | 竹下 勝人 |
一粒の弾力指に黒葡萄 | 中澤 啓子 |
秋深き波音だけの浜辺かな | 長澤 敦子 |
貝拾ふ夕べの浜や秋惜しむ | 中野 東音 |
晩秋やガス灯ともる美術館 | 中村 光男 |
栖鳳の猫生くるごと秋深む | 野口ひろし |
熊野道古人の跡へ秋深し | 芳賀 望實 |
コスモスの風に誘われ遠くまで | 服部 謙治 |
がっつりとかぼすを絞り馬刺食む | 増田 浪枝 |
令和4年10月7日(金) ネット句会
兼題【 冷やか、桜紅葉、灯火親しむ 】
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山影の落ちかかりたる花野かな | 先生 仙田 洋子 |
広縁に手足を伸ばし星月夜 | 増田 浪枝 |
北条の滅びし地なり曼珠沙華 | 松倉美智子 |
藍染の藍の深まり涼新た | 渡辺 幸江 |
灯火親しむ「そろそろ寝たら」と妻の言う | 今林 靖博 |
古民家の梁に棟札栗の里 | 齊藤 郁 |
桜紅葉空き家となりし里の家 | 関口 経子 |
出迎は色なき風やさとの駅 | 竹下 勝人 |
稲刈りや日暮れて残る三角田 | 中澤 啓子 |
ビル街の四角き空の鱗雲 | 長澤 敦子 |
吹かれきし秋蝶と開門を待つ | 中野 東音 |
冷ややか鉄の扉の領事館 | 中村 光男 |
灯火親し寝床で開く文庫本 | 野口ひろし |
秋空や読経響きて墓じまい | 芳賀 望實 |
今年酒父は手酌を好みけり | 服部 謙治 |
令和4年9月2日(金) ネット句会
兼題【 初嵐、秋の川、新豆腐 】
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瀬枕の音清らかに新豆腐 | 先生 仙田 洋子 |
鴨川を背に運ばるる新豆腐 | 服部 謙治 |
待宵や英恵の蝶の衣を纏ふ | 増田 浪枝 |
奥多摩の水のまろやか新豆腐 | 渡辺 幸江 |
震災忌今日も無事にて昼餉かな | 今林 靖博 |
盂蘭盆会母の文箱に吾の手紙 | 齊藤 郁 |
秋の川魚と見紛う落葉影 | 関口 経子 |
釣竿をおいて一献秋の川 | 竹下 勝人 |
オール上げ流れのままに秋の川 | 中澤 啓子 |
人去りし砂に足跡秋の海 | 長澤 敦子 |
みちのくに芭蕉をたづね秋の川 | 中野 東音 |
白木槿古刹に残る大刀の痕 | 中村 光男 |
豆腐屋に新豆腐かと尋ねけり | 野口ひろし |
敗戦忌サイレン響く過疎の村 | 芳賀 望實 |
令和4年8月5日(金) ネット句会
兼題【 涼し、ひまわり、祭 】
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スリッパを脱ぎ散らかして避暑の宿 | 先生 仙田 洋子 |
向日葵へ託す祖国や避難民 | 芳賀 望實 |
炎天や沖縄復帰五十年 | 服部 謙治 |
祭太鼓鉄都の若衆気炎上ぐ | 増田 浪枝 |
八月や昭和を思ふ歌謡祭 | 松倉美智子 |
古里の夜はひとしほ灯の涼し | 渡辺 幸江 |
朝涼し老犬の乗る乳母車 | 今林 靖博 |
立坑の闇の深さや風涼し | 齊藤 郁 |
風に揺れ撫子ゆるりほどけゆく | 関口 経子 |
救急の搬送急かす蝉時雨 | 竹下 勝人 |
向日葵も塀にもたるる昼日中 | 中澤 啓子 |
せせらぎに笹舟浮ぶ涼しさよ | 長澤 敦子 |
ひまはりの高々日露戦役碑 | 中野 東音 |
祭笛吹く娘や揺るるイアリング | 中村 光男 |
鉦太鼓三年振の山車の列 | 野口ひろし |
令和4年7月1日(金) ネット句会
兼題【 梅雨、蟻、夏草 】
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曝書して我が青春の太宰かな | 先生 仙田 洋子 |
夏草を嗅ぎて尿する子犬かな | 野口ひろし |
点滅の踏切先の小紫陽花 | 芳賀 望實 |
廃線の跡の隠れて茂りかな | 服部 謙治 |
辻々の京のうどん屋走り梅雨 | 増田 浪枝 |
湯上りや母の仕立てし古浴衣 | 松倉美智子 |
夏草の刈られてありぬ県境 | 渡辺 幸江 |
慰霊の日路傍に揺れる春紫苑 | 今林 靖博 |
座敷這うワシワシワシと大百足 | 齊藤 郁 |
蟻一匹墓前の花に隠れいる | 関口 経子 |
遠い目で海見る少女夏帽子 | 竹下 勝人 |
色褪せし日傘頼りに街歩く | 中澤 啓子 |
カメラ据え翡翠を待つ夕日かな | 長澤 敦子 |
日盛りをおろおろ賢治にはなれず | 中野 東音 |
蟻の列戦火の中を乱れずに | 中村 光男 |
令和4年6月3日(金) ネット句会
兼題【 夏の海、青葉、短夜 】
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漆黒の馬体かがやく麦の秋 | 先生 仙田 洋子 |
角打ちの仲間の会釈男梅雨 | 中村 光男 |
短夜や耳底に響くシンフォニー | 野口ひろし |
磐梯の山黒くなる青葉かな | 芳賀 望實 |
亡き友の残せし言葉夏の月 | 服部 謙治 |
彼のひとの胸まで泳ぎつきし海 | 増田 浪枝 |
六月や長寿祝わる誕生日 | 松倉美智子 |
シャンプーの匂ひする子と夕端居 | 渡辺 幸江 |
夕焼や干し物畳む老夫婦 | 今林 靖博 |
沖縄の少女の御下げ慰霊の日 | 斎藤 郁 |
若芝やフリスビー飛ぶ小犬跳ぶ | 関口 経子 |
青鷺の一歩に時の止まりける | 竹下 勝人 |
閉門を告げる鐘の音青葉風 | 中澤 啓子 |
夏の浜つま先歩き砂の上 | 長澤 敦子 |
麦秋や夕づく里の榛名山 | 中野 東音 |
令和4年5月6日(金) ネット句会
兼題【 鶯、五月、水芭蕉 】
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帽子飛ぶ水芭蕉咲く方へ飛ぶ | 先生 仙田 洋子 |
五月来ぬ五重塔と雲仰ぎ | 中野 東音 |
つばくらや八百屋に揺れる吊るし笊 | 中村 光男 |
北国や水芭蕉咲く独身寮 | 野口ひろし |
片付けを終へし新居や春夕焼 | 芳賀 望實 |
妻と行くせせらぎの径水芭蕉 | 服部 謙治 |
夏兆す根付けの鈴の夕ごころ | 増田 浪枝 |
飴色の明治箪笥へ大西日 | 松倉美智子 |
少年のサドルを上げし端午かな | 渡辺 幸江 |
道塞ぐ花の絨毯八重桜 | 今林 靖博 |
重箱に五色の寿司や五月晴れ | 斎藤 郁 |
父からの南部鉄瓶新茶汲む | 関口 経子 |
潮騒の中へ五月の丘下る | 竹下 勝人 |
癒えぬ手を五月の空に翳し見る | 中澤 啓子 |
遠くより我を呼ぶごと水芭蕉 | 長澤 敦子 |
令和4年4月1日(金) ネット句会
兼題【 春雷、草の芽、春の山 】
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大仏のまぶた動きぬ春の雷 | 先生 仙田 洋子 |
花の名を尋ねて笑みぬ春の山 | 長澤 敦子 |
光曳き降り立つ鳥や水の春 | 中野 東音 |
城下町見晴らす丘や草芽ぐむ | 中村 光男 |
また微熱余命を思ふ春夕べ | 野口ひろし |
故郷発つ十八歳や春の山 | 芳賀 望實 |
春の風座席の下の盲導犬 | 服部 謙治 |
春の野やピンコシャンコと牛跳ねる | 増田 浪枝 |
四月馬鹿年金の減る物価高 | 松倉美智子 |
ビル群の壁のわれ目に名草の芽 | 渡辺 幸江 |
草の芽や地蔵微笑む交差点 | 今林 靖博 |
靴底に大地の力草芽吹く | 斎藤 郁 |
春の山だし巻き卵と握り飯 | 関口 経子 |
下萌や軍靴に踏まれまた踏まれ | 竹下 勝人 |
車椅子柳の芽へと指伸す | 中澤 啓子 |
令和4年3月4日(金) ネット句会
兼題【 春の宵、草餅、春雨 】
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春宵の怪談語る金歯かな | 先生 仙田 洋子 |
繰り返すピアノエチュード春の宵 | 中澤 啓子 |
春の宵一人窓辺でカプチーノ | 長澤 敦子 |
薄氷や戦火のくにを身近にし | 中野 東音 |
不揃ひの母の草餅家苞(いえづと)に | 中村 光男 |
喜寿過ぎて今が一番春の宵 | 芳賀 望實 |
御松明火の粉浴びんと手を掲げ | 服部 謙治 |
抜き襟の素肌にぽつり春の雨 | 増田 浪枝 |
春光やがらんとしたる路線バス | 松倉美智子 |
草餅や昔ばなしの弾む母 | 今林 靖博
| 読み止しの本に折鶴春の宵 | 斎藤 郁 |
春雨や中々進まぬ古吟刺し | 関口 経子 |
鉄瓶は囁くごとし春の雨 | 竹下 勝人 |
令和4年2月4日(金) ネット句会
兼題【 寒卵、大根、春隣 】
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春隣うすむらさきに暮れにけり | 先生 仙田 洋子 |
地の力吸つて重たき大根かな | 竹下 勝人 |
焼きあがるパン待つベンチ春隣 | 中澤 啓子 |
火山灰かぶり大根堂々と | 長澤 敦子 |
けもの道ぬけて祠(ほこら)や霜の花 | 中野 東音 |
窓凍る北京の夜や羊鍋 | 中村 光男 |
早朝の妻の寝床へ湯たんぽを | 芳賀 望實 |
古本屋出であてどなき冬の暮 | 服部 謙治 |
寒卵懐に抱き農夫来る | 増田 浪枝 |
着ぶくれて帰りの席も譲らるる | 松倉美智子 |
畑一面湯気沸き立つや春隣 | 今林 靖博
| 冬の蝶広げし翅の薄さかな | 斎藤 郁 |
寒水を打って糠床守り継ぐ | 関口 経子 |
令和4年1月9日(日) ネット句会
兼題【 去年今年、初景色、初夢 】 |
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一人居を皆に守られ去年今年 | 関口 経子 |
初稽古合はぬリズムに笑ひ合ふ | 竹下 勝人 |
初雪や朝のサイレン駆け抜ける | 中澤 啓子 |
武蔵野の木々の目覚めや初景色 | 中野 東音 |
寒波来る予報士の声改まり | 中村 光男 |
初景色あと十年は生きたいな | 芳賀 望實 |
去年今年湯船に願いふくらませ | 服部 謙治 |
門扉開けノックは無用去年今年 | 増田 浪枝 |
追ひつけぬデジタル社会去年今年 | 松倉美智子 |
残響と機影一筋初景色 | 今林 靖博 |
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