令和3年12月5日(日) ネット句会
兼題【 山茶花、手袋、時雨 】 |
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極厚の手袋耳に夜明け道 | 今林 靖博 |
山茶花や異郷に妹永眠す | 阪下美代子 |
何もかも片を付けたき師走かな | 関口 経子 |
ベランダの隅にこつそり吊し柿 | 竹下 勝人 |
落ち葉走る乾いた音を引き連れて | 中澤 啓子 |
武蔵野に一番星や冬木立 | 中野 東音 |
地下都市の出口に迷ふ十二月 | 中村 光男 |
白手袋ピッチ上げるや箱根道 | 芳賀 望實 |
枯れ蔦やオフシーズンの甲子園 | 服部 謙治 |
國を去る新妻の背に初時雨 | 増田 浪枝 |
元気もらう佐藤愛子や九十の冬 | 松倉美智子 |
令和3年11月7日(日) ネット句会
兼題【 花野、新米、秋寒 】 |
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冬うらら八十路の歌手の美声かな | 松倉美智子 |
嫁ぎ行く届出に署す暮の秋 | 今林 靖博 |
新らしき句友を得たる花野行 | 阪下美代子 |
実むらさき見様見真似の太極拳 | 関口 経子 |
草の露天地まるごと呑み込みぬ | 竹下 勝人 |
お土産は友が作りし今年米 | 中澤 啓子 |
誰彼の息災秋の雲に問ひ | 中野 東音 |
大花野一人遅れのウオーキング | 中村 光男 |
スーパーに競うブランド今年米 | 芳賀 望實 |
山頂のホットコーヒー草の花 | 増田 浪枝 |
令和3年10月3日(日) ネット句会
兼題【 竜胆(りんどう)、霧、身に入む 】
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風の声水の声する黄落期 | 先生 川辺 幸一 |
身に入むや父の便りの二行半 | 増田 浪枝 |
大窓に月の行方を追ひてをり | 松倉美智子 |
コロナ下の結納成りて今年酒 | 今林 靖博 |
十月や九十の坂をのぼり初む | 阪下美代子 |
ケルンまで竜胆の咲く尾根をゆく | 関口 経子 |
身に入むや愛聴盤の瑕(きず)の音 | 竹下 勝人 |
来ぬバスを待つバス停も霧の中 | 中澤 啓子 |
湯の街の山から沖へ天の川 | 中野 東音 |
煙突の大きな湯の字鰯雲 | 中村 光男 |
霧晴れて被曝の森に日が昇る | 芳賀 望實 |
令和3年9月5日(日) ネット句会
兼題【 秋気、台風、葡萄 】
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秋の風街のコンビニ近くする | 先生 川辺 幸一 |
接種後の紫斑うすれて夏行けり | 松倉美智子 |
セミ飛びぬ一吹きのみの霧シャワー | 今林 靖博 |
静寂の宙に立ちたる五山の火 | 関口 経子 |
鋼剪る油のにほひ蝉時雨 | 竹下 勝人 |
秩父嶺と空の境や秋気澄む | 中澤 啓子 |
弾痕の城門にたつ秋気かな | 中野 東音 |
梨冷たし明日は手術といふ夕べ | 中村 光男 |
住職のリモート読経秋の風 | 芳賀 望實 |
名月やピアノの響き透き通り | 服部 謙治 |
児の口に余る葡萄の粒太し | 増田 浪枝 |
令和3年8月1日(日) ネット句会
兼題【 草いきれ、晩夏、冷酒 】
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水音や器はどれも今年竹 | 先生 川辺 幸一 |
双手より砂はらはらと夏果てぬ | 増田 浪枝 |
朝涼や目で追ふ先に一番機 | 松倉美智子 |
アルプスを散策したし雲の峰 | 今林 靖博 |
ひとはけの雲を肴に冷酒かな | 竹下 勝人 |
荒川を撫で行く風や晩夏光 | 中澤 啓子 |
夏帽子並んで海に向ひをり | 中野 東音 |
かなかなや輪廻を語る尼法師 | 中村 光男 |
サロマ湖の夕日の水面晩夏なり | 芳賀 望實 |
稲光俳句の下五閃けり | 服部 謙治 |
令和3年7月4日(日) ネット句会
兼題【 燕の子、網戸、夏の山 】
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吊り橋の揺れの行き着く夏の山 | 先生 川辺 幸一 |
消印に父の故郷夏の山 | 服部 謙治 |
かくれんぼ児を弾き出す夕立かな | 増田 浪枝 |
病む友の左手書きの夏便り | 松倉美智子 |
食拒む孫に見せたし燕の子 | 今林 靖博 |
赤潮と言ひて漁師の立ち尽くす | 竹下 勝人 |
梅雨晴やタオルに残る日の匂い | 中澤 啓子 |
大漁旗に託す復興燕の子 | 中野 東音 |
蟻登る世界遺産の高炉跡 | 中村 光男 |
廃坑のレールの錆や夏の山 | 芳賀 望實 |
令和3年6月6日(日) ネット句会
兼題【 虹、新緑、青蛙 】
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青岬ホテルの椅子が海を向く | 先生 川辺 幸一 |
雨あがり大虹映る千枚田 | 芳賀 望實 |
新緑や笑顔で話す乙女たち | 服部 謙治 |
渓谷の虹深ぶかと弧を描く | 増田 浪枝 |
夏帽子八十路終りの衝動買 | 松倉美智子 |
思い出も古きままなり更衣 | 今林 靖博 |
青蛙跳ぶを真似しておさな跳ぶ | 関口 経子 |
栴檀の散り敷く道や夏に入る | 竹下 勝人 |
新緑や指の包帯まだ取れず | 中澤 啓子 |
夏霧のはれゆく里や義民の碑 | 中野 東音 |
武道具を背(せな)に少年青葉風 | 中村 光男 |
令和3年5月2日(日) ネット句会
兼題【 柳、桜餅、春惜しむ 】
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巫女たちの箒が揃う樟落葉 | 先生 川辺 幸一 |
蝦夷富士を背(せな)に馬の仔立上がる | 中村 光男 |
ネジを巻く形見の時計春惜しむ | 芳賀 望實 |
いさかいのあとの煎茶と桜餅 | 服部 謙治 |
人力車走る岸辺の柳かな | 増田 浪枝 |
花しべも土に還るや春惜しむ | 今林 靖博 |
車窓より見える限りの春惜しむ | 関口 経子 |
老二人語らひ歩む若葉道 | 竹下 勝人 |
桜餅一つと言えず二つ買う | 中澤 啓子 |
雨粒のふつくらはしる藤の花 | 中野 東音 |
令和3年4月4日(日) ネット句会
兼題【 花の雨、蜆汁、若草 】
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ほとばしる富士の湧水花辛夷 | 先生 川辺 幸一 |
昼酒に仰ぐ窓越し花の雨 | 中野 東音 |
リハビリの踏み出す一歩春の土 | 中村 光男 |
若草や地蔵の赤いよだれかけ | 芳賀 望實 |
若草や少女四人の笑い声 | 服部 謙治 |
遅桜一老木の根の太き | 増田 浪枝 |
星の人今宵は呼びて花見酒 | 松倉美智子 |
深酒や朝餉にそつと蜆汁 | 今林 靖博 |
花の雨静かに暮れる三春かな | 関口 経子 |
散り初むや雨の堤のさくら花 | 竹下 勝人 |
風に舞う花びら今日は旅立ちの日 | 中澤 啓子 |
令和3年3月7日(日) ネット句会
兼題【 春風、野焼き、さくら貝 】
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畔焼くや日曜だけの農を継ぐ | 先生 川辺 幸一 |
春風の先へ先へと子ら走る | 中澤 啓子 |
引き波の砂に掬ふや桜貝 | 中野 東音 |
春燈(はるともし)万年筆で書く手紙 | 中村 光男 |
見舞い来し君の笑顔や春の風 | 芳賀 望實 |
幽閉の暗き洞穴春寒し | 服部 謙治 |
防人の母恋ふ浜や桜貝 | 増田 浪枝 |
啓蟄の虫もおどろく陽気かな | 松倉美智子 |
潮騒の幽かに聞こゆ桜貝 | 今林 靖博 |
桜貝遥かに望む伊豆七島 | 関口 経子 |
巻きのぼる渦の虹色しゃぼん玉 | 竹下 勝人 |
令和3年2月7日(日) ネット句会
兼題【 寒梅、豆撒き、薄氷 】
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坂東の風と光と冬田道 | 先生 川辺 幸一 |
みつしりと太陽を詰め熟蜜柑 | 竹下 勝人 |
薄氷小さき指先そっと触れ | 中澤 啓子 |
薄氷の輝きを踏み踏みゆけり | 中野 東音 |
寒梅や宗家の蔵の白き壁 | 中村 光男 |
コロナ禍に時間の積み木冬茜 | 芳賀 望實 |
寒梅や人のまばらの偕楽園 | 服部 謙治 |
筑紫路や梅六千本の匂ひ立つ | 増田 浪枝 |
役所あとに建ちし託児所梅ふふむ | 松倉美智子 |
峠越えライトに映ゆる闇の雪 | 今林 靖博 |
福豆の両手に余る我が齢 | 阪下美代子 |
薄氷を捧げ持つ子の得意顔 | 関口 経子 |
令和3年1月10日(日) ネット句会
兼題【 年惜しむ、年用意、初湯 】
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和菓子屋に大き赤べこ鏡餅 | 先生 川辺 幸一 |
どんど爆ぜ子等跳び退きて大笑い | 関口 経子 |
眼福や鳥獣戯画の初笑 | 竹下 勝人 |
小筆より墨の香匂う師走の夜 | 中澤 啓子 |
読み返すスマホメールや年惜しむ | 中野 東音 |
海原に昇る太陽初湯かな | 中村 光男 |
亡き友のアドレス消すや年惜しむ | 芳賀 望實 |
一年の計巡らせる初湯かな | 服部 謙治 |
新築の諸国銘木年新た | 増田 浪枝 |
幸せの窓とかぎらぬイブの夜 | 松倉美智子 |
人の背が並ぶ浜辺や初日の出 | 今林 靖博 |
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