令和2年12月6日(日) ネット句会
兼題【 冬木立、小春、湯豆腐 】
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一村がまるまる時雨鳥の声 | 先生 川辺 幸一 |
白い月沈んでゆきぬ冬木立 | 今林 靖博 |
こもり居の窓に影さす冬木立 | 関口 経子 |
湯豆腐や酒酌み交はす我と己(おれ) | 竹下 勝人 |
湯豆腐や箸止めて聞く鐘の音 | 中澤 啓子 |
むさし野を貫く水路落葉時 | 中野 東音 |
大江戸がぐつと近づく十二月 | 中村 光男 |
湯豆腐やするり塗り箸通り抜け | 芳賀 望實 |
学び舎の友の訃報や冬木立 | 服部 謙治 |
どぶ板も昔の話おでん酒 | 増田 浪枝 |
令和2年11月1日(日) ネット句会
兼題【 紅葉、秋刀魚、暮の秋 】
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秋刀魚食う太平洋に予報円 | 先生 川辺 幸一 |
マスク越し返す微笑み菊日和 | 松倉美智子 |
ランナーの足どり軽し草紅葉 | 阪下美代子 |
大滝を登らんとする渓紅葉 | 関口 経子 |
掬つては零るる記憶夜長し | 竹下 勝人 |
人住まぬ家の広さや暮の秋 | 中澤 啓子 |
また一つ拾ふ木の実の温みかな | 中野 東音 |
蒙古馬の一斉の尿(ばり)秋高し | 中村 光男 |
標本の骨を残して秋刀魚かな | 芳賀 望實 |
照紅葉閉店告げる蕎麦屋かな | 服部 謙治 |
ホイッスル聞く外苑カフェの紅葉かな | 増田 浪枝 |
令和2年10月4日(日) ネット句会
兼題【 草の実、秋思、秋夕焼 】
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階下から朝のコーヒー肌寒し | 先生 川辺 幸一 |
秋高しぽつちやり女子の通りけり | 増田 浪枝 |
ルビーの指輪似合ふ老母や敬老日 | 松倉美智子 |
先立ちしはらから偲ぶ秋夕陽 | 阪下美代子 |
秋思う弥勒菩薩の細き指 | 関口 経子 |
酒酌めば透き影清し秋の夜 | 竹下 勝人 |
誘わねどついてくる秋ポストまで | 中澤 啓子 |
この秋思茜の雲に吸はれゆく | 中野 東音 |
遠富士に投網打つごと椋鳥(むく)の群 | 中村 光男 |
恙なく喜寿を過ぎしや秋夕焼 | 芳賀 望實 |
我が影を踏みて消したし秋夕焼け | 服部 謙治 |
令和2年9月6日(日) ネット句会
兼題【 爽やか、虫、秋茄子 】
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みんみんの声立ち上がる朝の森 | 先生 川辺 幸一 |
爽やかや馬一斉に走り出す | 服部 謙治 |
指切りを解けばさよなら秋の暮れ | 増田 浪枝 |
母が好き我も好きなり西瓜切る | 松倉美智子 |
さわやかやくぬぎ林の葉擦れして | 阪下美代子 |
古民家の小さき池や蜻蛉群る | 関口 経子 |
長々の昼寝や風の通り道 | 竹下 勝人 |
見送りは爽やかな風無人駅 | 中澤 啓子 |
天心の月コロナ禍の街照らす | 中野 東音 |
広告の大きなルージュカンナ燃ゆ | 中村 光男 |
薄味に漬ける秋茄子朝餉かな | 芳賀 望實 |
令和2年8月2日(日) ネット句会
兼題【 緑陰、雷、夏料理 】
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緑陰やドクターヘリが飛び立てり | 先生 川辺 幸一 |
緑陰に井戸端会議マスクして | 芳賀 望實 |
水の音運ばれて来る夏料理 | 服部 謙治 |
霞が関緑陰を占むキッチンカー | 増田 浪枝 |
一人居の半丁そのまま冷奴 | 松倉美智子 |
掛軸は瀧一文字夏座敷 | 関口 経子 |
遠雷やふと目を交す見ず知らず | 竹下 勝人 |
雷鳴と雨競い合うおやつ時 | 中澤 啓子 |
からまつの風は湖水へ蝉の声 | 中野 東音 |
不要不急といはれ角出すかたつむり | 中村 光男 |
令和2年7月5日(日) ネット句会
兼題【 青嵐、鮎、栗の花 】
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青柿の大樹を仰ぐ尼の寺 | 先生 川辺 幸一 |
孟宗の大竹揺する青嵐 | 野口 浩 |
青嵐波打つ湖に村眠る | 芳賀 望實 |
目の前を一瞬が過ぎ燕かな | 服部 謙治 |
乗り継ぎてふるさと晩夏の日本海 | 増田 浪枝 |
免疫力あげる体操今朝の夏 | 松倉美智子 |
梅雨晴間子等が湧き出て駆け回る | 関口 経子 |
鮎の香や四条河原の風もがな | 竹下 勝人 |
釣り糸の微動手元に鮎を釣る | 中澤 啓子 |
鳴き止んでここに居ったの青蛙 | 中野 東音 |
髪振乱しセロ弾くゴーシュ青嵐 | 中村 光男 |
令和2年6月5日(金) ネット句会
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どかと来る力士の雪駄浅利飯 | 先生 川辺 幸一 |
花びらが舞えば見え来る風の道 | 中澤 啓子 |
ふるさとへ長き鉄橋雪解川 | 中野 東音 |
青空へ大合唱のチューリップ | 中村 光男 |
書を開くすぐにこつくり目借時 | 野口 浩 |
病窓に軽く当たるや飛花落花 | 芳賀 望實 |
春眠の温もりにある母の声 | 服部 謙治 |
茶畑に昼めしのこゑ畝を跳ね | 増田 浪枝 |
啓蟄や期限切れゐし鯖一缶 | 松倉美智子 |
歳時記の師の句なつかし花の雨 | 阪下美代子 |
挨拶はコロナの話題花馬酔木 | 関口 経子 |
令和2年5月8日(金) ネット句会
【 水草生ふ、蝶、春の夜 】
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牧柵に羊と駝鳥桷(ズミ)の花 | 先生 川辺 幸一 |
草青む里に賢治の詩の訛り | 中野 東音 |
ひとりごと言ひつ爪切る春の宵 | 中村 光男 |
術前の眠れぬ春の夜更けかな | 野口 浩 |
五月晴れ廃炉の傍を電車過ぐ | 芳賀 望實 |
春の風舞い上がりたる紙袋 | 服部 謙治 |
永き日の工具の目立愉しめり | 増田 浪枝 |
燕来よコロナ禍荒ぶ国に来よ | 松倉美智子 |
鬼が来て蝶が逃げ出すかくれんぼ | 関口 経子 |
転寝のしじま蹴破る浮かれ猫 | 竹下 勝人 |
川岸もこの坂道も若葉風 | 中澤 啓子 |
令和2年4月5日(日) ネット句会
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どかと来る力士の雪駄浅利飯 | 先生 川辺 幸一 |
花びらが舞えば見え来る風の道 | 中澤 啓子 |
ふるさとへ長き鉄橋雪解川 | 中野 東音 |
青空へ大合唱のチューリップ | 中村 光男 |
書を開くすぐにこつくり目借時 | 野口 浩 |
病窓に軽く当たるや飛花落花 | 芳賀 望實 |
春眠の温もりにある母の声 | 服部 謙治 |
茶畑に昼めしのこゑ畝を跳ね | 増田 浪枝 |
啓蟄や期限切れゐし鯖一缶 | 松倉美智子 |
歳時記の師の句なつかし花の雨 | 阪下美代子 |
挨拶はコロナの話題花馬酔木 | 関口 経子 |
令和2年3月1日(日) ネット句会
【 早春、水温む、木の芽 】
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木の芽風光たゆたふ水の面 | 竹下 勝人 |
水温む背伸びしながら窓を拭く | 中澤 啓子 |
夕東風や明治を今に根津谷中 | 中野 東音 |
早春やオカリナを吹く丘の上 | 中村 光男 |
メタセコイア芽吹間近き並木かな | 野口 浩 |
早春や子ら集まりて二重飛び | 芳賀 望實 |
サーファーの見え隠れする浅き春 | 服部 謙治 |
初音聞くヘルマンヘッセそっと閉ず | 増田 浪枝 |
カルテ見る女医の机に紙雛 | 松倉美智子 |
木の芽晴瀬音ふくらむ日となりぬ | 阪下美代子 |
春眠や国会中継遠く聞き | 関口 経子 |
令和2年2月2日(日) 於 代々木倶楽部
【 寒晴、懐手、冬草 】
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寒晴れやひいき力士の幟旗 | 先生 川辺 幸一 |
冬草や青き起伏の古墳跡 | 関口 経子 |
冬草を駆けつ転びつ笑ふ子ら | 竹下 勝人 |
寒晴や回り道して図書館へ | 中澤 啓子 |
岩風呂へ長き廊下を懐手 | 中野 東音 |
木枯がまた持つてきた訃報かな | 中村 光男 |
海を見る片懐手竜馬像 | 芳賀 望實 |
恵方向き妻は大口気にもせず | 服部 謙治 |
雪解川越えて免許を更新す | 増田 浪枝 |
よく笑ふセールスマンの大マスク | 松倉美智子 |
子の占る父の懐寒日和 | 阪下美代子 |
令和2年1月6日(日) 於 代々木倶楽部
【 年の市、太箸、乗初(初電車) 】
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祝箸家紋の由来聞かせたり | 先生 川辺 幸一 |
若き声代替りして年の市 | 阪下美代子 |
青空へ黄の湧き昇る大銀杏 | 竹下 勝人 |
年の市いつもの場所に七味売り | 中澤 啓子 |
冬枯れの野山を覚ますオスプレイ | 中野 東音 |
冬の月東京駅の帽子屋根 | 中村 光男 |
「元気です」一言だけの賀状受く | 芳賀 望實 |
御代がわり賀状仕舞いの知らせ受く | 服部 謙治 |
初電車どっと飛び入る柔道着 | 増田 浪枝 |
主治医との四方山話冬うらら | 松倉美智子 |
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