令和2年の作品集

12月例会作品 第333回

令和2年12月6日(日)  ネット句会

兼題【 冬木立、小春、湯豆腐 】


一村がまるまる時雨鳥の声
先生
 川辺 幸一
白い月沈んでゆきぬ冬木立 今林 靖博
こもり居の窓に影さす冬木立 関口 経子
湯豆腐や酒酌み交はす我と己(おれ) 竹下 勝人
湯豆腐や箸止めて聞く鐘の音 中澤 啓子
むさし野を貫く水路落葉時 中野 東音
大江戸がぐつと近づく十二月 中村 光男
湯豆腐やするり塗り箸通り抜け 芳賀 望實
学び舎の友の訃報や冬木立 服部 謙治
どぶ板も昔の話おでん酒 増田 浪枝

11月例会作品 第332回

令和2年11月1日(日)  ネット句会

兼題【 紅葉、秋刀魚、暮の秋 】


秋刀魚食う太平洋に予報円
先生
 川辺 幸一
マスク越し返す微笑み菊日和 松倉美智子
ランナーの足どり軽し草紅葉 阪下美代子
大滝を登らんとする渓紅葉 関口 経子
掬つては零るる記憶夜長し 竹下 勝人
人住まぬ家の広さや暮の秋 中澤 啓子
また一つ拾ふ木の実の温みかな 中野 東音
蒙古馬の一斉の尿(ばり)秋高し 中村 光男
標本の骨を残して秋刀魚かな 芳賀 望實
照紅葉閉店告げる蕎麦屋かな 服部 謙治
ホイッスル聞く外苑カフェの紅葉かな 増田 浪枝

10月例会作品 第331回

令和2年10月4日(日)  ネット句会

兼題【 草の実、秋思、秋夕焼 】


階下から朝のコーヒー肌寒し
先生
 川辺 幸一
秋高しぽつちやり女子の通りけり 増田 浪枝
ルビーの指輪似合ふ老母や敬老日 松倉美智子
先立ちしはらから偲ぶ秋夕陽 阪下美代子
秋思う弥勒菩薩の細き指 関口 経子
酒酌めば透き影清し秋の夜 竹下 勝人
誘わねどついてくる秋ポストまで 中澤 啓子
この秋思茜の雲に吸はれゆく 中野 東音
遠富士に投網打つごと椋鳥(むく)の群 中村 光男
恙なく喜寿を過ぎしや秋夕焼 芳賀 望實
我が影を踏みて消したし秋夕焼け 服部 謙治

9月例会作品 第330回

令和2年9月6日(日)  ネット句会

兼題【 爽やか、虫、秋茄子 】


みんみんの声立ち上がる朝の森
先生
 川辺 幸一
爽やかや馬一斉に走り出す 服部 謙治
指切りを解けばさよなら秋の暮れ 増田 浪枝
母が好き我も好きなり西瓜切る 松倉美智子
さわやかやくぬぎ林の葉擦れして 阪下美代子
古民家の小さき池や蜻蛉群る 関口 経子
長々の昼寝や風の通り道 竹下 勝人
見送りは爽やかな風無人駅 中澤 啓子
天心の月コロナ禍の街照らす 中野 東音
広告の大きなルージュカンナ燃ゆ 中村 光男
薄味に漬ける秋茄子朝餉かな 芳賀 望實

8月例会作品 第329回

令和2年8月2日(日)  ネット句会

兼題【 緑陰、雷、夏料理 】


緑陰やドクターヘリが飛び立てり
先生
 川辺 幸一
緑陰に井戸端会議マスクして 芳賀 望實
水の音運ばれて来る夏料理 服部 謙治
霞が関緑陰を占むキッチンカー 増田 浪枝
一人居の半丁そのまま冷奴 松倉美智子
掛軸は瀧一文字夏座敷 関口 経子
遠雷やふと目を交す見ず知らず 竹下 勝人
雷鳴と雨競い合うおやつ時 中澤 啓子
からまつの風は湖水へ蝉の声 中野 東音
不要不急といはれ角出すかたつむり 中村 光男

7月例会作品 第328回

令和2年7月5日(日)  ネット句会

兼題【 青嵐、鮎、栗の花 】


青柿の大樹を仰ぐ尼の寺
先生
 川辺 幸一
孟宗の大竹揺する青嵐 野口  浩
青嵐波打つ湖に村眠る 芳賀 望實
目の前を一瞬が過ぎ燕かな 服部 謙治
乗り継ぎてふるさと晩夏の日本海 増田 浪枝
免疫力あげる体操今朝の夏 松倉美智子
梅雨晴間子等が湧き出て駆け回る 関口 経子
鮎の香や四条河原の風もがな 竹下 勝人
釣り糸の微動手元に鮎を釣る 中澤 啓子
鳴き止んでここに居ったの青蛙 中野 東音
髪振乱しセロ弾くゴーシュ青嵐 中村 光男

6月例会作品 第327回

令和2年6月5日(金) ネット句会


どかと来る力士の雪駄浅利飯
先生
 川辺 幸一
花びらが舞えば見え来る風の道 中澤 啓子
ふるさとへ長き鉄橋雪解川 中野 東音
青空へ大合唱のチューリップ 中村 光男
書を開くすぐにこつくり目借時 野口  浩
病窓に軽く当たるや飛花落花 芳賀 望實
春眠の温もりにある母の声 服部 謙治
茶畑に昼めしのこゑ畝を跳ね 増田 浪枝
啓蟄や期限切れゐし鯖一缶 松倉美智子
歳時記の師の句なつかし花の雨 阪下美代子
挨拶はコロナの話題花馬酔木 関口 経子

5月例会作品 第326回

令和2年5月8日(金) ネット句会

【 水草生ふ、蝶、春の夜 】


牧柵に羊と駝鳥桷(ズミ)の花
先生
 川辺 幸一
草青む里に賢治の詩の訛り 中野 東音
ひとりごと言ひつ爪切る春の宵 中村 光男
術前の眠れぬ春の夜更けかな 野口  浩
五月晴れ廃炉の傍を電車過ぐ 芳賀 望實
春の風舞い上がりたる紙袋 服部 謙治
永き日の工具の目立愉しめり 増田 浪枝
燕来よコロナ禍荒ぶ国に来よ 松倉美智子
鬼が来て蝶が逃げ出すかくれんぼ 関口 経子
転寝のしじま蹴破る浮かれ猫 竹下 勝人
川岸もこの坂道も若葉風 中澤 啓子

4月例会作品 第325回

令和2年4月5日(日) ネット句会


どかと来る力士の雪駄浅利飯
先生
 川辺 幸一
花びらが舞えば見え来る風の道 中澤 啓子
ふるさとへ長き鉄橋雪解川 中野 東音
青空へ大合唱のチューリップ 中村 光男
書を開くすぐにこつくり目借時 野口  浩
病窓に軽く当たるや飛花落花 芳賀 望實
春眠の温もりにある母の声 服部 謙治
茶畑に昼めしのこゑ畝を跳ね 増田 浪枝
啓蟄や期限切れゐし鯖一缶 松倉美智子
歳時記の師の句なつかし花の雨 阪下美代子
挨拶はコロナの話題花馬酔木 関口 経子

3月例会作品 第324回

令和2年3月1日(日) ネット句会

【 早春、水温む、木の芽 】

木の芽風光たゆたふ水の面 竹下 勝人
水温む背伸びしながら窓を拭く 中澤 啓子
夕東風や明治を今に根津谷中 中野 東音
早春やオカリナを吹く丘の上 中村 光男
メタセコイア芽吹間近き並木かな 野口  浩
早春や子ら集まりて二重飛び 芳賀 望實
サーファーの見え隠れする浅き春 服部 謙治
初音聞くヘルマンヘッセそっと閉ず 増田 浪枝
カルテ見る女医の机に紙雛 松倉美智子
木の芽晴瀬音ふくらむ日となりぬ 阪下美代子
春眠や国会中継遠く聞き 関口 経子

2月例会作品 第323回

令和2年2月2日(日) 於 代々木倶楽部

【 寒晴、懐手、冬草 】


寒晴れやひいき力士の幟旗
先生
 川辺 幸一
冬草や青き起伏の古墳跡 関口 経子
冬草を駆けつ転びつ笑ふ子ら 竹下 勝人
寒晴や回り道して図書館へ 中澤 啓子
岩風呂へ長き廊下を懐手 中野 東音
木枯がまた持つてきた訃報かな 中村 光男
海を見る片懐手竜馬像 芳賀 望實
恵方向き妻は大口気にもせず 服部 謙治
雪解川越えて免許を更新す 増田 浪枝
よく笑ふセールスマンの大マスク 松倉美智子
子の占る父の懐寒日和 阪下美代子

1月例会作品 第322回

令和2年1月6日(日) 於 代々木倶楽部

【 年の市、太箸、乗初(初電車) 】


祝箸家紋の由来聞かせたり
先生
 川辺 幸一
若き声代替りして年の市 阪下美代子
青空へ黄の湧き昇る大銀杏 竹下 勝人
年の市いつもの場所に七味売り 中澤 啓子
冬枯れの野山を覚ますオスプレイ 中野 東音
冬の月東京駅の帽子屋根 中村 光男
「元気です」一言だけの賀状受く 芳賀 望實
御代がわり賀状仕舞いの知らせ受く 服部 謙治
初電車どっと飛び入る柔道着 増田 浪枝
主治医との四方山話冬うらら 松倉美智子