ブルーレイのメディアについて
講師 森田矩夫 さん
[初めに]
2007年2月のCD/DVDメディアの解説に引き続き、今回はブルーレイのメディアの紹介を致します。
[大容量化を可能にした技術]
BD(Blu-ray Disc)は一層25GBとDVDの5.3倍の容量があります。この様な大容量を可能とした三つの技術を紹介します。
1. 405nm青紫色レーザーの採用
大容量化に伴い、細かくなった情報を正しく読み書きするためには、使用するレーザー光を極めて小さく絞り込まなけれ
ばなりません。焦点を小さくするためには使用するレーザー光の波長を短くする必要があり、CDでは780nmの近赤外線、DVD
では650nmの赤色光が使用されているのに対しBDは405nmの青紫色を採用しています。405nmという数値は、レンズ・デスク
材料の透過率やレーザー発光素子の特性等を考慮して決定されました。
2. 大開口数レンズの採用
集光レンズの開口度を大きくするほど光を小さく絞り込むことができます。そのため、BDでは0.85という非常に大きな値
を採用しています。
3. ディスク内光路は0.1mmを採用
口径の小さな対物レンズで開口数を大きくするとピックアップレンズ先端から記録層までの距離は0.5mm位と非常に短くな
ります。そのため、BDではディスク表面と情報記録面との距離(カバー層厚さ)は0.1mmに規定されました。
[BD記録面の構造]
1. ウオブル
書換型及び追記型BD記録面には溝(グルーブ)が形成されていて、この溝にはトラック位置を正確に把握できるようにウオブ
ルといううねりが付けられています。CDやDVDにもウオブルが付けられていますがBDでは更に高性能な方式が採用されてい
ます。
2. 記録場所
BDの記録情報を書き込む場所は、グルーブの中(イングルーブ)かグルーブ横の畝の部分(オングルーブ)のどちらかになって
います。
3. BD-Rの記録層材料
CDとDVDの追記型の場合、有機系の色素が使用されていましたが、BDの場合、無機系と有機系の二種類が採用されています。
無機系:合金タイプ、相変化タイプ、分解タイプ
有機系:HTLタイプ・・・CD/DVDと同じよう強いレーザー光で色素層を焦がして記録する。
LTHタイプ・・・レーザー光を照射した部分を高反射率化させて記録する。
4. BD−REの記録層材料
CD、DVDの書換型と同じ相変化材料が採用されています。
[BDの種類]
CD、DVDと同様に、読み出ししかできない再生専用形:BD-ROM、一回だけ書き込める追記形:BD-R、および、何回も読み書き
できる書換形:BD-REの三種類あり、それぞれに、記録層が一層のものと二層のものがあります。また、用途別に、データー用
と著作権保護対策がとられている録画用の二種類が販売されています。
[BDを支えるその他の技術]
1.ハードコート処理
BDはディスク表面から記録層までの距離が非常に短いため指紋汚れやゴミ・キズ等の影響を受けやすいという問題がありま
したが、ハードコート処理技術の採用でこの問題は解決されました。
2.欠陥補修システム
書き込みを失敗した場合別の場所に書き込む方式が取られています。読み取り時の高度な誤り訂正方式と相まって、これらの
修正技術によりBDの記録精度の確保が図られています。
3.ファイナライズレス
DVD録画時面倒くさかったファイナライズが必要ないようになっています。
以上 .
お知らせ
長期保存可能のメディアとしてCD 全盛期の時には、銀塩フィルムに匹敵する100年保存可能な MITSUI GOLD Professional
や Kodak CD-R GOLD が市販されていました。しかし、低価格化の波に押されて消え去りました。
その後、DVD の時代になり、この様な長期保存性のメディアの出現が熱望されていましたが、先月三菱化学からようやく発売
されました。アゾ色素を使用しているのでフタロシアニン色素使用の前述の物より寿命は多少劣ると思いますが、正しく保管す
れば60年位は保ちそうです。お子さんの代・孫の代まで残したい写真やビディオ動画は是非これに保管したいものです。
三菱メディア 「長期保存DVD-R」 ARLEDIA 1枚入り @500円
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