講師 権藤 永 さん
権藤さんは永年、鋼材の研究に携われ、ワープロフロッピーに貴重な資料が残されており、これ
らをパソコンワープロに変換できないかと、色々検討されてきました。
今回、その体験をお聴きするとともに、ソフトメーカーの技術者の方にもおいでいただき、変換
ソフトの説明とデモンストレーションをしていただきました。
マイコンの登場でワープロ専用機は従来のタイプライターではできなかった文章の修正が対話式でで
きるようになり、1970年代以降主に米国で普及したが、日本語は漢字処理のハンディキャップのために
和文タイプライターから脱却することができなかった。
日本語ワープロ専用機は効率的な漢字処理が可能な仮名漢字変換方式が開発されて、1978年東芝が
JW-10を発表し、後継機JWR-1が低価格で発売されて以来、各社追随し急速に普及した。気軽に推敲
し、悪筆を忘れて好きなフォントを選び、ウイルスの心配もなくFDに保存できるプリンター付のポータ
ブル専用機は89年度全国で271万台の出荷ピークに達したが、2000年代には60万台以下に落ち込んだ。
同年東芝はワープロ事業撤退を表明し、各社相次いで生産を停止し、累計3000万台,20数年間の専用機
時代は終焉した。その背景は文書の保存方式が統一されていなかったために、殆ど互換性がないまま官
公庁・企業・学協会・個人に大量の電子文書が蓄積され、ワープロ専用機時代の持続的発展の見通しが
霧に閉ざされていたからである。
その後Word 2000の登場でワープロとHTML文書との互換可能性に明るい展望が開かれた。現在、各種
の変換ソフトが蓄積されたワープロ文書をPCで復活させ、読み取るだけでなくワープロで編集使用で
きるように開発され進歩しつつある。
今回のPC勉強会はその現況を認識し、ハードとソフト両面から新しいワープロ機能と利便性の上
に、貴重なワープロ文書資産を有効に継承活用することを目的として表記テーマ選定した。
(a)ワープロ専用機またはPCで作成したテキストファイル文書をMS-DOS形式にフォーマットされた
FDを介して互換する方式 (OASYS LX-4500NT-plusの例)
(変換機能1) メモリ文書←→MS-DOSテキストファイル
(変換機能2) MS-DOSテキストファイル←→フロッピー文書
ワープロ専用機で作成したメモリ文書をMS-DOS形式FDに保存してPCに入れると自動的にMS-DOSテキストフ
ァイルに交換されWordやメモ帳で開き編集できる。
MS-DOS形式FDに保存されたテキストファイル文書はワープロ専用機で読み出すと自動的にワープロ文書
に交換され編集できる。
(変換表)文書形式、罫線、特殊文字、制御記号、登録文字等の変換コードを予め設定できる。設定し
ない場合は標準的なコードに変換される。
OASYS文書が100%そのまま表示できない場合は編集修正を要する。
(FD文書を読み込めない場合)
例 ●Athlon, Duronを使用したマザーボードを装備する場合
●2モードFDDの場合(米国式の2DDでは720KB, 2HDでは1.44MB)
(国内ではNEC PC98の関係で3モードFDDが普及し問題は少ないといわれている?)
(b)ワープロ文書を印刷した後スキャナで読み取りOCRソフトを用いてテキスト文書に変換する
方式
(変換機能)印刷された文書をOCR(Optical Character Reader)ソフトで画像としてスキャナで光学的
に取り込まれた文字イメージから、PC内部の文字コードを呼び出してテキストデータに変換する。
(認識率)原稿によって文字パターン・サイズ・背景のコントラスト等で文字認識率が上下するので、
事前の画像編集や傾斜修正や認識領域の設定等が重要である。
(操作手順)解像度設定(400dpi)→スキャナで原稿を読取る→画像編集(認識率向上)→認識領域の
設定(不要部分を削除)→認識実行→認識結果の修正→保存
ワープロ文書だけでなく新聞スクラップや名刺の整理にも使われている。
(OCRソフト例:読んde!!ココ、 e.typist、 読取物語、e.Hand Beginner、文書OCR for Word)
(c)ワープロソフトOASYS2002(富士通)をインストールしたPCにOASYS専用機で作成したFD文書
を読込み変換し編集する方式
(変換機能)
OASYS文書を一括変換し、OASYS専用機感覚で文書を編集できる。
携帯OASYSのCD-ROMをセットすればインストールしてないPCで編集できる。
(予めOASYS2002で変換した文書FDは必要)
親指シフト配列のキーボード使用可能
(変換範囲)文書変換:書式、文章、罫線、図表などワープロ文書全般
図形変換:線画(ドット単位の点動作による作図、線画拡大・縮小)
(対応機種)富士通以外の対応機種組合せ(PC機種, OS, FDD, FD)は確認を要する。
(d)コンバータソフトによる変換方式(リッチ・テキスト・コンバータ2004の例)
(変換機能)ワープロ専用機で作成した文書FDからコンバータを使ってPCに読込み、Word、 Excel、
エルゴソフト、特許庁HTMLなどへ変換して読み出す。(双方向)
(変換範囲)文書変換:書式、文章、罫線、図表などワープロ文書全般
図形変換:線画、イメージ
(対応機種)ワープロ専用機:OASYS、 RUPO、 TOCWORD、 書院、 文豪、 パナソニック、
サンワード、 キャノワード、 ワープロエース、 ワードパル、
リポート、 カシオワード、 一太郎、松 etc
PCシリーズ:富士通FMV、 NEC PC-98-NX、SONY VAIO、IBM互換機 etc
FDD(USB接続):ロジテック7機種、 IO-DATA USB-FDX2、 FDX4 etc
(a)ポケッタブル小型専用機(または子機)で音声入力、映像入力可能な単能機。
(b)多機能性は親機に任せ、必要に応じて親機と連結またはPCカード等で補う。
(c)セキュリティ確保のために、原則としてオフラインで使用。
(d)電源は燃料電池より安価でメンテナンスフリーの環境にやさしい、ナロウゲートキャパシターを
使用した2次電池が望ましい。
変換ソフトについては、富士通の杉田氏とアンテナハウス社の畑中氏から説明とデモンストレー
ションがありました。
「OASYS 2002」は、通常のパソコン用ワープロソフトに、ワープロ専用機 OASYS で作成した文書を
パソコンOASYSに変換する機能などが加わったものです。
1)文字だけでなく、罫線、図表なども、一括変換できる。Word への変換も可能。
他社のワープロ文書も変換できるが、一部サポートできない部分がある。
2)パソコン用ワープロにワープロ専用機感覚で使用できる OASYS 専用モードも装備している。親指シフト
キーボードも使用OK。
3)パソコンに3モードフロッピードライブが内臓されているか、又はUSB接続ドライブの場合は、
富士通かロジテック社の特定型番のものが必要。
詳細については下記のホームページを参照して下さい。
使用中のパソコンで OASYS フロッピーが扱えるかどうか確認できる「OASYS 診断」ツールも公開中
です。
http://software.fujitsu.com/jp/oasys/
「リッチ・テキスト・コンバーター2004」は、専用のコンバーターソフトです。
1)ワープロ専用機からWindows アプリケーション(Word や一太郎など)、Macintosh などへ文字、罫
線、図表などを殆ど完全に変換できる。PDF変換も可能。
全てを含んだソフトはかなり高価ですが、一組の限定組み合わせ(たとえば OASYSとWord )の廉価版
もある。但し、あとで組み合わせの変更は出来ない。
2)パソコンに3モードフロッピードライブが内臓されているか、又はUSB接続FDドライブの場合は、
ロジテック社かアイ・オー・データ機器社の特定型番のものが必要。
詳細については下記のホームページを参照して下さい。
動作確認:主なパソコンを実際に試験して動作可能な機種を公開。
動作判定ツール:ワープロFDを使用中のパソコン上で実際に読み書きして、コンバーターが使用
出来るかどうかを判定するツールを無償配布。
USB接続ドライブ:USB経由で接続するFDドライブ で、コンバーターと組み合わせることで、すべて
のFDの読み書きが可能な機種を紹介。
http://www.antenna.co.jp/